成績優秀で素行にも問題のない「いい子」
自殺した生徒が万引きの事実を否定しなかった理由について、教育評論家の松本肇(はじめ)氏はJ-CASTニュースの取材に対し、
「今回亡くなってしまった男子生徒は、成績優秀で素行にも問題のない『いい子』な生徒だったと聞きます。一般的に、そのような生徒は教師の追及に対し、強く否定できない傾向が強いといえます」
と説明。続けて、「親にも相談できなかったため、一人で追い込まれてしまったのではないか」と話した。
さらに松本氏は、今回の事件において「校長推薦という制度自体が正しく機能していたか疑問です」と問題提起。推薦という制度は本来「教師が生徒の人となりを保証するもの」だと述べた上で、今回のケースは「書類のデータだけで機械的に判断しているようにしか思えません」と疑問を投げかけた。
また、今回の事件をきっかけに、ネット上では「内申制度」そのものを問題視する向きも強まっている。
ツイッターでは、内申制度について「生徒の思想を縛っている」「すぐにでも廃止した方がいい」など批判的な投稿が数多く見つかる。なかには、今回の事件が教師の個人的裁量で評価が決まる内申制度の「欠陥」を象徴しているとの指摘もみられる。
ただ、こうした意見について先述の松本氏は、
「生徒の素行といった評価は、多かれ少なかれ教師の主観的なものになることは事実です。ですが、受験時に用いる調査書へ評価を記入する際は、生徒を一概に批判するような書き方はしません」
と補足した。