「ダサく見える」「伝える気あんのか」――ネット上で散々にけなされるフォントの代表格と言えば、独特の丸みを帯びた「創英角ポップ体」だろう。
Microsft Officeに標準搭載されているため使われる機会も多く、スーパーのチラシなどでよく目にする。しかしその反面、TPOをわきまえて使わなければ、見る人に全く違った印象を持たれかねない。
どこか気の抜けた、丸いフォント
指定暴力団「山口組」とそこから分裂独立した組織「神戸山口組」の対立抗争が激しくなる中、名古屋市内に張りだされたとされるこんな張り紙が2016年3月7日頃からツイッターで話題となった。
「愛知県警より 暴力団、山口組の抗争で組員が名古屋の繁華街に集結しているとのことです。特に今池、錦、栄には行かないようにしてください」
名古屋市は山口組内の有力組織「弘道会」の本拠地だが、愛知県警はまだエリアメールや公式サイトでこういった情報を発表しておらず、これが県警が配布した張り紙かどうかは確認できていない。
しかし、注目が集まったのは内容よりも、文章で使われていた「創英角ポップ」のフォントだった。暴力団に対する注意の呼びかけに、およそ相応しくない、と考えられたのか、ツイッターで
「もうちょっと緊迫感のあるフォントに出来んかったんかな」
「ポップ体の緊張感無さヤバい」
「内容よりもフォントが気になる」
とツッコミが相次いだ。
今回の事例に限らず、創英角ポップ体を忌避するネットユーザーは多い。その大きな原因とも言われるのが、官公庁や地方自治体、都道府県警といった公的機関による「乱用」だ。一度は見かけた経験のある人も多いだろう。「振り込め詐欺多発!」などと「!」マークまで使って注意を促しているにも関わらず、どこか気の抜けた、丸いフォントで書かれてある文章。それはたいてい創英角ポップ体だ。