非正規の乱「図書館員」編 ツイッターで怒りの「辞めた理由」相次ぐ

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   全国の図書館で非正規職員の数が増え、賃金などの待遇が酷いと訴える声がネット上で相次いでいる。その声をツイッターでまとめる動きも出てきた。

   「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名ブログは、子供を預けてもらえなかった母親らの間で大きな反響を呼んだ。そして、保育園不足の背景に、酷い待遇で保育士をやる人がいないという問題がクローズアップされ、ツイッター上では、「#保育士やめたの私だ」のハッシュタグまで作られた。

  • ツイートでの呼びかけが反響呼ぶ(画像はツイッターから)
    ツイートでの呼びかけが反響呼ぶ(画像はツイッターから)
  • ツイートでの呼びかけが反響呼ぶ(画像はツイッターから)

「#図書館やめたの私だ」に投稿が次々寄せられる

   これに対し、図書館の事情に詳しい元産経新聞記者の猪谷千香さんが2016年3月7日に「#図書館やめたの私だ」のハッシュタグを作り、今度は図書館員の声を集め始めた。

   猪谷さんは、その理由について、「正規雇用がどんどん減っていて、食べていけないぐらいの低賃金で働く現場の方はいらっしゃいます」と述べ、図書館の未来のためにも人を確保することの重要性を挙げている。

   このツイートは、1000件ほどもリツイートされ、ハッシュタグには、図書館員の経験があると見られる人からの投稿が次々に寄せられている。

   大阪で小学校図書館の司書をしているという投稿者は、契約・派遣社員として図書館を転々とし、前の学校図書館も、手取りの給料が月10万円余だけだったと告白した。

   学校図書館なら、月給は10万円を切るところも多く、しかも交通費支給もなく、研修も自腹で参加するのだという。こうした実態について、「働きたくて意欲のある人たちが去っていく業界に見える...」と嘆いた。

   また、東京都内在住の女性は、非正規のまま25歳から40歳まで図書館で働いたが、最後の図書館は、手取りの給料が月12万円だったという。残業代も出なかったにもかかわらず、館長並みの責任を持たされ、クレーム対応で矢面に立たされたと明かした。

「半年で身体を壊して、辞めざるを得なかった」

   女性は、「やりがいだけじゃ無理」として、「戻ってきてと言われていますがあの条件では戻りません」と言っている。それ以前に働いた図書館も、1年契約の雇用で3回しか更新できず、過重労働で体を壊して辞めたところもあったという。図書館で働く非正規職員について、「独身(実家住み)か、子供が大きくなって手が掛からなくなったという女性か、まだ子供がいない女性ばかりだった」と振り返っていた。

   このほかの投稿でも、「めちゃ頑張っても月11万だった」「定時で帰る正規職員さんを非正規が無理して支えてた」「非正規低賃金で過重労働(サビ残、自宅に持ち帰り仕事)。半年で身体を壊して、辞めざるを得なかった」といった切実な声が相次いでいる。

   図書館の非正規職員については、各メディアの報道でも、月給15万円前後という厳しい労働実態が報告されており、ツイッターのつぶやきもウソではないようだ。長引く不況の影響で財政難に陥る自治体も多く、緊急を要しないと真っ先に予算が切り詰められていることが原因とも指摘されている。

   非正規職員の割合は、今や全国の図書館職員の半数以上に上るとされている。司書ともなれば豊富な知識が求められる専門職になるが、それでも、一般職の正規職員よりも賃金が4分の1ほどに留まるケースすらある。官製ワーキングプアは深刻で、国が掲げる「同一労働同一賃金」の原則にも、到底達していない状態だ。

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