ピン芸人日本一決定戦「R-1ぐらんぷり 2016」(フジテレビ系)の決勝戦が2016年3月6日夜に行われ、ハリウッドザコシショウさん(42)がグランプリに輝いた。
ウリは、誇張しすぎた強烈なものまね芸だ。審査員の1人だった「ものまねの女王」こと清水ミチコさんは「よく今まで売れなかったなと思って」と感嘆し、芸人仲間も興奮気味に祝福コメントを寄せた。だが、お茶の間の関心度はイマイチだったようで、ツイッターには「R-1ぐらんぷりはオワコンか...」といった視聴者の感想が相次いだ。
3786人の頂点はハリウッドザコシショウ
ザコシショウさんは大阪NSCに11期生として入学し、1993年にデビュー。当初は「G★MENS」(ジーメンス)という漫才コンビを組んでいたが、02年に解散してピン芸人になった。
TBSで07年から4年間放送されていたお笑いネタ番組「あらびき団」には初回から出演し、「キング・オブ・あらびき」とも称されたものの、深夜の番組ということもあって知名度はさほど上がらず。
NSC同期の陣内智則さんやケンドーコバヤシさんがバラエティー番組で活躍する中、ザコシショウさんは芸歴24年でありながら、アルバイトで生計を立ててきた。「R-1」決勝進出は、12回目の挑戦にして初の快挙だった。
3月6日の決勝戦では「2兆個」あると自称するレパートリーの中から「やりつくされた森進一のものまねをあえてやる」「誇張しすぎた野々村元議員」(編注:野々村竜太郎元兵庫県議)といったネタを次々と披露した。
狂気すら感じられるハイテンションな芸は会場の爆笑をかっさらい、ネタ中には司会の「雨上がり決死隊」宮迫博之さんが笑いすぎて出た涙をぬぐう場面も。ファーストステージ後には、審査員からも「この後できへんで!」(間寛平さん)「ちょっと(続きは)来週にせえへん?」(板尾創路さん)との訴えが上がった。
清水ミチコさんも「似てないのに、なお破壊するというのは、誰もやったことないと思うんですよね。よく今まで売れなかったなと思って」と率直な驚きを口にしていた。
ファイナルステージでは小島よしおさん、ゆりやんレトリィバァさんを大きく引き離し、圧倒的大差で優勝。ピン芸人3786人の頂点に立った。
視聴率「イッテQ」「真田丸」に及ばず
優勝を受け、ザコシショウさんの実力を信じてきたお笑い界からはお祝いのコメントが続々と寄せられた。
陣内さんは「お笑いを心から愛する人には笑いの神様は微笑む。。 俺もまだまだまだまだ頑張ろう! 同期ザコシショウおめでとう!」とツイート。同じく同期のたむらけんじさんも「お笑いの神様はやっぱりおるんやな!いや、ただの奴の実力か! ザコシおめでちゃー!」と優勝をたたえた。
なだぎ武さん、「南海キャンディーズ」山里亮太さん、「アジアン」馬場園梓さん、星田英利さん(元ほっしゃん。)らも相次ぎツイッター上でコメントしたほか、有吉弘行さんも同時間帯に放送されたラジオ番組「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」で、直前に見たザコシショウのネタに触れて「全部知ってるネタでしたけど、めちゃくちゃ面白かった」と絶賛した。
ただ、芸人仲間の盛り上がりとは裏腹に、国民的な関心度はそこまで高くなかったようだ。平均視聴率は11.8%で、同時間帯に放送された日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」(19.4%)、NHK大河ドラマ「真田丸」(16.6%)にはおよばなかった。
R-1は、ピン芸人の№1を決める大会として2002年から始まり、一人話芸の代表である「落語」の頭文字「R」から名前を付けた。今回で14回目を迎えたが、平均視聴率は2010年の14.3%をピークに減少傾向にある。今回は前年10.2%より1.6ポイント盛り返したものの、数字的にいいとは言えない(いずれも関東地区/ビデオリサーチ調べ)。
さらに、今回のグランプリでは、「裸芸人」の多さを指摘する声もネット上で目立った。ファイナルステージに進んだ小島よしおさんとザコシショウさんはともにパンツ一丁。ゆりやんレトリィバァさんもファーストステージでは、ぽっちゃりとしたお腹を披露していた。
そのためツイッター上には、視聴者から「裸芸人は安村でもう十分だよ............」「勢いと裸芸 これしか印象に残らんかった」「R-1グランプリ、また裸芸か」といった声が寄せられていた。