G20声明、結局は「中国経済」が頼り 「政策総動員」の中身なしで市場はどうなる

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人民元の規制めぐり、妥協が成立?

   奇しくも、その中国がホスト国となった今回のG20で、中国経済はどう扱われたのか。

   世界が注目したのが人民元相場だ。2008年のリーマン・ショック後、米国などによる金融緩和で新興国に巨額の資金が流入して成長を支えたが、15年来、資金の流れが逆転している。とりわけ人民元は15年夏の中国による実質大幅切り下げをきっかけにして急落し、金融市場の混乱の「震源地」とみなされている。米国の9年半ぶりの利上げ(15年12月)が、この流れを加速したが、米連邦準備理事会(FRB)はひとまず、利上げのペースダウンを打ちだしたので、人民元の動向が世界の注目点になっていた。G20が、その対策として打ち出したのが、新興国からの資金流出に歯止めをかける資本規制(資金規正)だ。

   中国は近年、金融分野の規制緩和を進め、人民元の国際通貨化に励み、昨年、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)の構成通貨の地位も得たばかり。規制強化はこの流れに逆行するだけに、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、公の場で「中国経済の成長力は強い。人民元はこれ以上下落する根拠はない」と繰り返し発言するなど、表向き、規制は必要ないとのポーズを見せてきた。とはいえ、現状でも一定の資本規制を残す中国にとって、「国際合意による規制」は受け入れやすく、足もとの人民元安を食い止める意味でも歓迎だったというのが本音だ。一方、市場を反映する人民元相場への移行を中国に求めてきた米国も、今回は一定の規制を黙認する姿勢を示した。「日本などの説得を受け入れた」(大手市経済部デスク)とされる。

   ただし、今回の合意は、あくまで「規制の検討」についてで、実際にどのような規制が導入されるかは今後の話。つまり、人民元については「現行の中国当局の規制を維持するということで、各国も、それは結構ですと言っただけ」(国際金融関係筋)ということのようだ。

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