カジュアル衣料の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、新年度がはじまる1か月前の2016年3月2日、他社よりひと足早く入社式を開いた。
3月に入社式を開く企業には、他にセブン&アイ・ホールディングス(HD)があるが、インターネットでは、「これって、ブラックじゃん」「かわいそう」といった声も挙がっている。他の会社の新入社員より1か月も早く(多く)働かせるのか、という思いのようだ。
すぐにGW、「早く仕事になれて戦力に」
国内企業の多くが、新年度がはじまる4月1日に入社式を開くなか、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは例年どおり、3月に入社式を開いた。2016年に、新たに社員となるのは1000人で、このうち27人の外国人を含む、約400人が式に出席した。
柳井正会長兼社長は、ユニクロの海外店舗数が15年に国内を上回るなど国際展開を加速させていることを踏まえ、「世界中に店があり、多くの社員がそこで活躍しています。その一員として、会社を引っ張っていってほしい。1年後、3年後、10年後の成長を楽しみにしています」と、歓迎した。
ユニクロによると、新入社員は入社式前に配属される店舗が決まる。3月1日にオリエンテーション、2日に入社式。3日から1週間は、本部で事業全般や店舗での働き方などを学ぶ集合研修を受け、その後配属先で勤務に就くスケジュール。待遇も「正社員」として扱われるという。
前倒しの入社式について、同社は「4~5月にはゴールデンウィーク商戦がはじまります。入社して1か月足らずで、すぐに繁忙期に突入してしまうことを考え、早く仕事になれてもらうためにもその(前倒しした)ほうがよいと考えています」と説明する。
新入社員が3月の入社後に卒業式を迎えることには、「一生に一度のことですから、きちんと出席してほしいと考えていますし、各自休みを取って出席してもらっています」と話し、社員の申請に基づいて休暇を与えているという。
同社は、新入社員の卒業に向けたすごし方やスケジュール、入社後の仕事のことなどを考えると、3月入社は「最善と考えています」と話す。
そんなユニクロの「3月入社」に、インターネットには批判的な声が少なからずある。たとえば、
「4月を待たずに入社させるのはブラックでは」
「今日から給料払うんだろなwww」
「ちょっとでも早く使う。使えるヤツとそうでないヤツを選別するため...」
「4月を待たずに離職しちゃう人が出てくるのではw」
「従業員かわいそうだなあ。4月までのんびりしたいだろうに・・・」
「卒業旅行、行けないやん」
といった具合。
たしかに卒業前の3月といえば、ほとんどの学生が卒業旅行や卒業記念パーティーで最後の学生生活を楽しんでいる時期だ。そんなときに研修を受けて働きはじめるのだから、「かわいそう」という気持ちもわからないではない。