ホンダは日本国内で2018年までにセダン型の「シビック」を復活させる。販売低迷で2010年に国内生産を打ち切ったが、北米を中心に販売を継続した海外では高い人気を誇っている。知名度のあるシビックを復活させることで、落ち込んでいる国内販売をテコ入れする狙いだ。
八郷隆弘社長が2016年2月末に開いた記者会見で「日本でも販売を検討する」と述べ、2年以内に再投入する方針を明らかにした。
2010年には国内生産を止める
シビック再投入の理由として、八郷社長は「いろいろ日本の市場を見て、販売店の話を聞いても、シビッククラスのセダンを望むお客さまもいる。特に少しスポーティな先進的なセダンが望まれており、そこをしっかり提案できないか、(シビックの)販売を検討する」と説明した。
シビックといえば、1972年に初代が発売され、ホンダの乗用車の歴史の中で最も古いブランドだ。1990年代まではハッチバック型を中心に人気となった。しかし、SUV(スポーツタイプ多目的車)などが登場すると販売は低迷し、スポーツタイプを除いて2010年に国内生産を停止し、9代目以降は国内で販売されなくなった。
そんなシビックだが、海外では今も高い人気を誇る。北米で2015年11月に10代目としてフルモデルチェンジしたセダン型シビックは、新型プラットフォームとダウンサイジングしたターボエンジンを採用して優れた走行性能を実現。広い室内空間や内装なども評価され、最も優れた新車に贈られる2016年の「北米カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したほど。
日本向けには、このシビックをベースに改良して販売する考えだ。
中高年に人気の車種を再投入
それにしても、一度は国内市場から消えたシビックをなぜ復活させるのか。
ホンダは2013年に発売した小型HV「フィット」、小型SUV「ヴェゼル」の主力車のハイブリッドシステムに不具合が発生してリコールを連発。ライバル勢より国内販売の落ち込みが目立つようになり、2014年に投入した小型セダン「グレイス」も苦戦が続いている。
こうした苦境から脱するためには、中高年層に人気だったシビックを再投入し、巻き返しを図る必要があると考えたわけだ。
シビック復活の表明を受け、ネット上では「ウキウキするぜー」「次はシビックを買う」などと盛り上がりをみせている。ただ、歓迎の声の中には「なぜ、セダンなの」「ハッチバックを復活させて」といったハッチバックファンのコメントも少なくない。