高齢者が動きやすいよう室内を改装するなどの住宅のリフォームが全国的に広がる中、リフォームをめぐるトラブルもじわじわ増加している。
リフォームは新築工事に比べれば負担が小さく、業者に家の傷みなどを指摘されると、すぐに契約してしまうケースも多いためで、じっくり準備することが必要だ。
7兆円の市場規模に成長し、さらに拡大
住居に関する相談機関として国から指定を受けている公益財団法人「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」(東京都千代田区)によると、数字がまとまっている2014年度に寄せられた電話相談の件数は計2万6136件。うちリフォームに関するものは9305件と全体の3割強に上った。2009年度の相談件数は計1万6792件で、リフォームに関する相談は3253件。リフォームの相談件数は5年間で約3倍にも増加し、全体に占める割合は5年前の2割弱から3割にアップしたことになる。この流れは2015年度も続いている。
背景には、リフォーム市場そのものが拡大していることがある。
一因が、中古マンション人気。最近では資材や人権費の高騰で新築マンションの価格が上がっており、比較的割安な中古マンションの人気が高まっている。中古物件を購入するのは若い世代が多く、自分たちの好みに合わせて部屋を大胆に改造するケースも多い。また、高齢化の進展に伴い、足腰の弱ったお年寄りが日常生活を送りやすいよう、自宅の内部を改装する例も増えている。
このためリフォーム市場は2009年度前後には5兆円台~6兆円台前半だったのが、今や約7兆円規模に膨らみ、「今後も必ず拡大していく」(中堅リフォーム事業者)との見方が一般的だ。