どんどん筋力が低下していく進行性の難病「筋ジストロフィー」の発症原因の1つを発見したと2016年2月26日、神戸大学が発表した。
治療法の開発が期待できるという。論文は、米科学誌「セル・リポーツ」(電子版)の2月25日号に掲載された。
筋ジストロフィーは、筋繊維が次第に萎縮していく遺伝性の病気で、国から難病指定を受けている。ほとんど歩行不能の重症になる場合が多く、国内の患者は約2万5000人といわれる。
神戸大の戸田達史教授らのチームは、これまで発症原因とみられていた筋細胞表面のタンパク質「ジストログリカン」と結合する糖鎖の構造を明らかにした。そして、その中に、バクテリアや植物にしか存在が確認されていなかった「リビトールリン酸」と呼ばれる糖が人間にも存在することを発見した。
筋ジストロフィー患者の糖鎖には、リビトールリン酸が不足していた。そこでリビトールリン酸の原料となる物質を、患者のモデル細胞に投与すると、リビトールリン酸が合成されて糖鎖の異常が回復したという。
戸田教授は「原因不明だった筋ジストロフィーの発症の仕組みがわかりました。治療薬の開発に拍車がかかります」とコメントしている。