自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の富永真琴教授らの研究チームは2016年2月25日、脂肪を燃焼させる効果を高める新たなタンパク質を発見したと発表した。
「TRPV2チャネル」と名付けられたこのタンパク質、肥満解消やメタボリックシンドロームの治療に期待できるという。
働きをコントロールすると・・・
脂肪細胞には、いわゆる皮下脂肪や内臓脂肪になる「白色脂肪細胞」と、「褐色脂肪細胞」の2種類がある。両者は同じ脂肪細胞でもまったく反対の働きをする。白色脂肪細胞が脂肪を蓄え肥満の原因となるのに対し、褐色脂肪細胞は脂肪を分解して熱に変えることで体温を調節するのだ。
これまでは、褐色脂肪細胞の中にある「UCP1」というタンパク質が脂肪を燃焼させることは知られていたが、富永教授らは働きが不明だった「TRPV2チャネル」に注目。「TRPV2チャネル」を持つマウスと持たないマウスとで実験を繰り返した結果、このタンパク質が燃焼効果を高めていることを解明した。
富永教授は「TRPV2チャネルの働きをコントロールすると脂肪の燃焼効果が高まるので、治療薬に使えば肥満の改善に役立ちます」とコメントしている。