原則として競技場内とされる五輪の聖火台について、新国立競技場を運営する日本スポーツ振興センター(JSC)が当初から場外を想定していたと報じられている。なぜそんなおかしなことが、まかり通っていたのか。
当初案が白紙撤回された新国立競技場は、2015年末にようやく屋根に木を使った和風の「A案」に決まり、基本設計も始まった。
当初案から、聖火台を場外に置くデザインだった
ところが、ここに来て、またまた厄介な問題が浮上した。産経新聞が16年3月3日に競技場に「聖火台が設置できない」恐れがあると報じ、遠藤利明五輪相や馳浩文科相が会見して釈明に追われる事態となった。
新国立競技場は、2020年東京五輪のメーンスタジアムとなるが、報道によると、スタンドが木製の屋根で覆われる構造のため、聖火台をスタンドの上部などに置けば、火事になりかねない。消防法上は、聖火台を置くことができないというのだ。
聖火台は、国際オリンピック委員会のルールでは、原則として観客席から見える場所に置くとされている。冬季五輪では、競技場外に置かれたケースがあるが、開・閉会式だけが行われた会場だった。
なぜ競技場を決めるときに、聖火台のことを考えなかったのか。
その点について、馳文科相は、3月4日の閣議後会見で、白紙撤回されたザハ・ハディド氏デザインの当初案でも場外に置く想定だったとし、A案を決めるときも、JSCが場外の設置になると思い込んでいたからだと説明した。
とすると、場内という五輪の原則がありながら、当初案でなぜ、肝心の聖火台を場外に置くデザインを選んでしまったのか。
この点について、JSCの広報室に取材すると、次のように回答した。
「いままで誰も指摘しなかったってのがすごい」
「確かに、こちらは競技場の建設主体ですが、聖火台は必須の設備ではありませんので、大会組織委員会が準備するものだと認識しています。組織委員会から事前に要望はありませんでしたが、要望があれば対応できるところもあったと思います」
遠藤五輪相は、3月4日の閣議後会見で、消防法上の制約があるため、場内ばかりでなく異例のケースとなる場外も含めて設置場所を検討することを明らかにした。もし場内に聖火台を置くとしても、デザイン変更で建設費が膨らむことになりそうだと報じられている。
こうした事態に、ネット上では、疑問や批判が相次いでいる。
「これをいままで誰も指摘しなかったってのがすごいね」「まーた俺らの税金が無駄使いされるの?」「わざとやって金掛けてる様にしか思えん」...
聖火台をどうするかについては、「ど真ん中でキャンプファイヤーな感じでいい」「聖火台の周辺だけ木目調の樹脂材を使えば」といった提案があり、中には、「もうCGでいいじゃん」「スカイツリーのてっぺんに付けよう」とネタにする向きまで出ていた。