「信田(しだ)缶詰」(千葉県銚子市)が2014に製造したサバの缶詰1600万缶のうち300万缶に、サンマが混ざって出荷されていたことがわかった。会社は謝罪しているが、インターネットでは「これはこれでうまそうじゃん」などの反応が出ている。
中身の半分以上がサンマのものもあったが、原料には表記せず、サバ缶と見せかけていたようだが、サバよりサンマが高い時期もあり、ネット上は様々な感想が飛び交っている。
2014年に300万缶を中東向けに出荷
信田缶詰が製造・出荷した、問題の「サバ缶」は、魚肉が切り刻まれたフレーク缶詰(内容量は1缶95グラム)で、中東への輸出用として製造した。現地では「MADKHANAH(マドハナ)」のブランド名で販売。イエメンなどではサラダやスープの具材に使われているという。
同社によると、2014年製造分にサンマを混ぜて製造・出荷したという。サンマを混ぜた缶詰は約300万缶で、原料計約450トンのうち、27%にあたる約120トンがサンマだった。
缶にはサバが描かれており、魚肉がフレーク状なので、消費者がサンマが混入していることを見分けるのは難しいとみられる。缶詰の原材料にサンマの記載はなかった。
ただ、国内では販売しておらず、また15年製造分に混入はなかった。13年以前の製造分については調査していないとしている。
信田缶詰は1905年創業の老舗。テレビで話題になった「サバカレー」や、「銚子風おでん」や「いわし角煮」などを取り扱っている。原油高騰などに伴う経営難で、2009年に民事再生法の適用を申請。再生手続き終了後の2015年8月に長野市の食品卸売会社「マルイチ産商」が子会社化した。
親会社のマルイチ産商によると、今回のサバ缶へのサンマの混入は、同社が信田缶詰の子会社化に向けた手続きを進めるにあって調査していた際に内部通報で発覚した。社内調査に対して信田缶詰は、「原料のサバが不足したため、注文に間に合わせるためにサンマを使った」と説明。すでに中東の出荷先企業に謝罪し、賠償金を支払って和解したという。
一方、原材料にサンマを使用したにもかかわらず、原料を誤認させるような虚偽表示の可能性があることについて、マルイチ産商は「輸出100%の、国内で流通していない商品であることや、中東の出荷先への賠償も済んでいることもあり問題はないと判断しています」と話す。
信田缶詰は2016年3月3日、「消費者や関係者には多大なるご迷惑をおかけいたしました。再発防止のため、コンプライアンス遵守の意識を社員一同に周知徹底しました」とのコメントを発表した。