「まっ、平たく言えば」「えー御社を希望する理由は」「あっ、それは」――就職活動面接の場で応募者がよく口にする受け答えではないだろうか。
しかし、「まっ」や「あっ」など言いたいことの前に挿入するワンクッションが思わぬ「低評価」を招く、といったネット上の噂が絶えない。「本当のところ」を専門家に聞いた。
面接官らしいツイッターに体験談が集まる
まるでコントのような、こんなエピソードが今ツイッターを賑わしている。投稿者は面接官だったのだろうか。応募者と会話を交わしている最中、偶然面接の様子を見ていた社長が「ある行動」に出たらしい。
「面接で必ず『マッ』って言ってから喋る人がいて『マッ わたくしは...』『マッ 開発は5年...』『マッ 運用は...』って様子を後ろのドアからこっそり入って見てた社長がこっちに向かって腕全体でバツ印を向けてきた」
言いたいことの前に一々「マッ」と付ける口癖に強い拒否感を示す「バツ印」。投稿者はその後の展開を明かしていないが、上の投稿を見る限り、応募者はそのまま「不採用」になったと考えるのが普通だ。
これに対し、
「会話では『まぁ』とか『とりあえず』とか『えーと』とか言葉の前につけちゃうけど、面接じゃダメ」
「まぁってなにか言う前につけちゃう」
「『あっ』を最初につける癖がある人は就活してたら片っ端から落ちまくってた」
といった意見、体験談が寄せられ、大きな議論となっている。
ここで使われた「マッ」だけでなく、「えっ」や「まぁ」「えーと」といったつなぎ言葉は日常会話によく登場する。言語学的には「フィラー」とも呼ばれるが、こと面接の場では「印象が悪い」との噂が飛び交っている。無用なつなぎ言葉が入ると、「愚鈍」な印象を面接官に与えてしまうというのだ。ネット上でも、多くの就職活動情報サイトが「面接官が語る『絶対落とす』人の特徴」として「つなぎ言葉を多用する」と明記している。
「アニメ声」「関西弁」は大丈夫なのか
しかし、逆に、面接官と「会話」するように受け答えするべし、そのため積極的に「そうですね」「うーん」といったつなぎ言葉を入れるべし、とアドバイスする就職活動マニュアル本もある。
真相はどちらなのだろうか。就職活動に詳しい大学ジャーナリスト、石渡嶺司さんは「つなぎ言葉を使っただけで面接に落ちるということは、まずありません」と語る。
「あまり使いすぎると、やかましい、何を言っているか分からない状態になるかもしれませんが、常識の範囲内で使う分には大丈夫です」とし、前述のエピソードに登場する応募者については「恐らくつなぎ言葉以外の部分で『バツ印』を受けたのではないでしょうか」と分析した。
また、「使っただけで面接に落ちることはない」のは、つなぎ言葉に限らず、関西弁や地方訛り、いわゆる「アニメ声」に関しても同じだと話す。
「ものすごい『アニメ声』の学生を知っているのですが、彼女を面接で高く評価してくれた会社もちゃんとありました。あくまでも企業は話し方や話の内容、身振りで総合的に評価しているのだろうと思います」
つなぎ言葉を気にするよりも、「話の中身」を磨け、ということだろうか。