「二宮金次郎」が「歩きスマホ」を誘発する? 学校から撤去、「座って本読む」銅像も登場

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金次郎は「歩きながら本を読んでいたわけではない」

   16年3月1日放送の「あしたのニュース」(フジテレビ系)でも、全国の小学校で金次郎像の撤去が進んでいることが特集された。撤去の理由は、保護者などから「勤勉の精神が時代に合っていない」「ながら歩きは危険だ」といった声が上がったため。小学校を追いやられた金次郎像のなかには、なぜか居酒屋に寄贈されたケースもあるという。こうした報道に対し、ネット上では、

「ながら歩きは危険だけど、金次郎はそんなこと教える目的で学校にいる訳じゃない」
「何でもかんでもケチをつける暇な奴が多いんやな」
「呆れますな。 何でも無くせばいいってもんじゃないのに」

などと批判的な声が数多く寄せられた。一方で、「確かにあのポーズは歩きスマホを誘発する」「ずっと前から思ってた」などと、撤去に賛同する意見もゼロではなかった。

   だが、そもそも金次郎が像のように歩きながら本を読んでいた事実はないという。そうJ-CASTニュースの取材に明かしたのは、金次郎の生地である神奈川県小田原市の「尊徳記念館」だ。

「原典といわれる『報徳記』を見ると、像の姿で知られるあの場面には『誦(そらんじる)』という表現が使われています。ですので、正しい解釈は『薪を背負って歩きながら、勉強した内容を暗唱していた』となります」

   歩きながら読書する金次郎の姿が初めて描かれたのは、1891年に出版された子ども向けの伝記「二宮尊徳翁」(著・幸田露伴)の挿し絵だという。同館は「勤労・勤勉という2つのコンセプトを子どもに分かりやすく伝えるため、手に本を持った姿で描いたと思われます」と分析している。

   ――金次郎の功績を分かりやすく伝えようとした先人の配慮が、現代になって「大きな誤解」を招く要因となってしまった。何とも皮肉な顛末である。

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