【あさイチ】(NHK)2016年2月25日放送
「インフルエンザ対策に『あいうべ体操』」
インフルエンザが2月に入り猛威をふるっている。205万人の患者は過去10年間で2番目の多さだ。
ところが、福岡県春日市の須玖小学校では、6年前にある体操を始めてからインフルエンザにかかる児童が激減した。インフルエンザによる学級閉鎖がゼロになったというのだ。
舌を思いっきり突出してウイルスにあかんべ~
中谷文彦アナが現地に飛んだ。さっそく、給食の前に教室で行なわれている、その「あいうべ体操」なるものを見学する。やりかたはこうである。
「あ~」「い~」「う~」「べ~」と思いっきり口を大きく開けて、発声練習を繰り返すのだ。特に大事なのは「べ~」の発声動作。べろ、つまり舌をいっぱいに突き出して発音する。中谷アナも参加してやってみる。プロのアナウンサーだから発声練習はお手のものだが、「コレ、結構きついね。口が疲れます」。
そう、この体操は口の周りの筋肉を鍛え、口を閉じやすくして鼻呼吸を促すトレーニングが目的なのだ。中谷アナは廊下から授業中の様子をのぞく。
中谷アナ「確かにみんな、しっかり口を閉じて鼻呼吸をしていますよ。口を開けている子は5人だけですね」
同小学校の養護教諭・原尾真美さんが語る。
「6年前はインフルエンザにかかる子が37.5%もいましたが、昨年は7.2%に減りました。私も通勤途中に『あいうべ体操』していますよ」
中谷アナ「ええっ! 電車の中で『べ~』って舌を出しているんですか?」
原尾教諭「いえ、車で通勤していますから」
中谷アナは「あいうべ体操」を考案した福岡市博多区の「みらいクリニック」の今井一彰院長を訪ねた。
中谷アナ「鼻呼吸がなぜインフルエンザの予防にいいのでしょうか?」
今井院長「鼻は、乾燥した空気を暖め、うるおして、鼻の中の毛や粘膜のフィルターを通してキレイにして取り込みます。ところが、口では空気を暖められないし、キレイにもできません。ウイルスを直接吸い込んで、体の中の細胞にダメージを与えてしまうのです」
舌を正しい位置に収めると万病に効果が
この「あいうべ体操」は地元・福岡だけではなく、山口や兵庫など各地の小学校に広がっているそうだ。
中谷アナの指導の元、スタジオで出演者一同が「あいうべ体操」を練習した。コツを紹介すると。
1:「あ~」...のどの奥が見えるほど大きく口を開けて。
2:「い~」...くちびるを強く横に引き伸ばして。
3:「う~」...くちびるを前に突き出して。
4:「べ~」...舌を思いっきり突き出して、舌へ引き伸ばして。
ゲストのユージが「べ~」で、あごの先にくっつくほど舌を突き出した。
中谷アナ「ユージさん、いい感じです。でも、電車の中ではやらないで」
以上4つの動きを朝晩15回ずつ1日30回行なうと、口の周りや舌の筋力がつき、舌が正しい位置にちゃんと収まるようになり、口が閉じて鼻呼吸をしやすくなるのだ。
MCの柳澤秀夫「舌の正しい位置ってどこよ?」
ゲストの宮崎美子「上あごの内側かな」
中谷アナ「すばらしい! さすが、声を鍛えていますね」
MCの有働由美子「はあ~? 私は下あごの内側だけど。普通そうでしょ?」
中谷アナ「それは、かなり口の中の筋肉が衰えていますね。それだと鼻呼吸じゃなくて口呼吸になってしまいますよ」
中谷アナが、口腔内の断面図を見せて説明する。舌が上あごにくっつくと、気道への通路にふたをする形になり口で息をしにくくなる。だから鼻呼吸になるのだ。しかし、舌が下あごにあると、口腔の上の部分にすき間ができて口で息をしてしまうのだ。
中谷アナ「ヒップアップのトレーニングでお尻を上げるのと同じです。『あいうべ体操』で舌をアップしましょう!」
番組では紹介しなかったが、「あいうべ体操」は最近、手軽にできる健康法の1つとして介護現場などで注目されている口の周りの筋肉運動だ。「呼吸は健康の源」といわれるが、鼻呼吸を促すので腹式呼吸が自然にできるようになり、免疫力を高める。また、噛む力を高めるので食事が進むし、自律神経も整える。アレルギー疾患やリウマチなどに効果があるといわれている。