自分の子どもに進んでほしい大学の専攻は文系、理系のどちらか――。未就学児の子どもをもつ20~30代の父親200人に聞いたところ、じつに7割を超える父親が「理系」と答えたことが、リクルートホールディングスのR25編集部とアイリサーチの調査でわかった。
しかも、この調査では「文系」に進んだ父親が、そのことを後悔しているようなのだ。
実際は「文系」学生が57%を占める
2016年春の大学入試も終盤。すでに「サクラサク」の合格通知を受け取った人も少なくないだろう。
文部科学省の学校基本調査(2015年確定値)によると、大学生の総数は255万6000人で、14年度より4000人増えた。このうち、女子大生は112万7000人で前年度比1万人増加して過去最高。大学進学率も2年連続で51.5%となり、過去最高だった。
大学生を文系と理系に分けると、文系(人文科学、社会科学、家政、教育)は57.1%を占め、理系(理学、工学、農学)が21.3%、その他(国際関係、芸術、医学・保健)が21.6%となっている。
理系人気が伝えられているが、現実にはまだまだ「文系」学部に通う学生が多いというわけだ。
そうしたなか、大学の専攻で、自分の子どもに「文系」と「理系」のどちらに進んでもらいたいか、R25編集部とアイリサーチが調査したところ、「文系」と答えた父親が26.5%だったのに対し、「理系」は73.5%にも達し、「理系」が「文系」に圧勝した。R25が2016年2月26日付で報じた。
さらに調査では、自身が「文系」出身の父親100人に、子どもに進んでほしい専門分野を聞いたところ、「文系」と答えたのは36.0%で、「理系」は64.0%にのぼった。一方、自身が「理系」出身の父親100人に、同じ質問をしたところ、「文系」と答えたのは17.0%、「理系」は83.0%と圧倒的だった。
父親自身がどちらの道を歩んできたかにかかわらず、「理系」人気が高いことがうかがえる。
しかも、父親自身は「文系」だが、子どもには「理系」に進んでほしいという父親の意見を聞くと、
「就職に有利だと思うから」
「専門性のある資格をとってほしいので」
「文系の仕事は理系でもできるが、逆は無理だから」
といった声が。なかには、
「自分が文系で役に立っていないから」
と、なにやら自身が歩んできた道を後悔しているかのような声もみられる。
理系は就職には有利だが、カネがかかる
父親たちのこうした声にインターネットでは、
「適性より親の希望」
「理系といってもいろいろ。役にたたんもんもある」
「できる奴はどっちもできちゃうっていうよねwww」
「文系のほうが経営者は多いけど、彼らは文系と言っても理系でも通じるくらいのハイレベルな存在だ」
といった声が寄せられている。
ただ、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、2016年春の大学入試は、「傾向としては『文系の復活』でしょう。法学部や経済学部が人気でした」と、潮目が変わる兆しがあるとしている。
「『理系は就職に強い』ということは確かですが、企業が求める技術職、研究職といわれる職種は学部卒よりも院生を求めています。4年卒は総合職での入社が多いのですが、そうなると研究に追われる理系学生よりも文系のほうが準備に時間がとれる分、有利と考えているようです」と説明する。
ここ数年人気だった薬学や栄養学、医療・看護系は「資格がとれる」ことが人気の理由だったが、資格取得のハードルは低くない。それでなくとも、理系は学費が高い。専修学校とのダブルスクールや、結果的に6年在学しなければならないとなると、さらに学費がかさむことになる。
相対的にカネのかからない文系のほうが親孝行だし、学生の売り手市場が続く中では、「理系」も「文系」も就職にはあまり影響しないということもあり、文系への揺り戻しが起きているようだ。