小学校563件の事故のうち3割近くが「骨折」
一方、日本スポーツ振興センターの統計によると、2014年度に東京都内の小学校で起こった組体操事故の件数は563件。そのうち児童が骨折したケースは158件にも上る。
そんな中、ネットでは
「普通にやめとけばいいのに」
「なんでそんなにしてまで組体操やりたいんだ」
と審議内容への批判が高まっている。
専門家も苦言を呈する。組体操問題に詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授(教育発達科学)は一部自治体の「全面禁止」は否定しながらも
「『高さ制限』も『禁止』もしない、というのでは何の方向性も見えてきません。『安全対策を取っている』と主張しながら、有効な対策を何ら講じず、危険な10段ピラミッドをやり続けた現場の教育関係者と同じ言い分です。審議内容が非常に気がかりです」
と取材に話した。
全面禁止すれば「他種目も中止となりかねない」という委員の言い分も、「ムカデ競争や棒倒し、騎馬戦も危険だと言うなら、組体操と並行でその危険性を分析し、対策すればいいだけの話です。組体操ありきの発言ではないでしょうか」と批判。
加えて、区市町村の教育委員会の考えを尊重する、といった都の説明に「組体操は現場で巨大化しました。現場に近い行政、教育関係者が歯止めをかけてこなかったからです。そうした経緯を踏まえると、『自治体任せ』にするのでなく、きちっと上からブレーキをかけるべきではないでしょうか」と疑問を呈した。
最後に、「『全面禁止』か『継続』かという極端な議論に陥るのではなく、どの技がどれくらい危険だからどの程度規制すべき、という組体操のあり方に踏み込んだ議論をしてほしいです」と同委員会へ注文を付けた。