「あの世で親父に会えるかと思うと楽しみだ」
論文には、以下のように具体的な事例が紹介されている(抜粋要約)。
【事例1:故人89歳男性・回答者63歳娘】
父が「部屋のすみにだれかいる」と言うので、「だれ?」と聞くと、「母ちゃんだ」と答え、「(母らしき相手と)迎えに来たのか?」と会話していました。亡くなる1か月くらい前です。
【事例2:故人55歳男性・回答者52歳妻】
夫はこう話していました。「あと2、3日で(自分の命は)どっちに転ぶんだろう? 親父が夢の中に出てきた。あの世で親父に会えるかと思うと楽しみだ。今までは死ぬのが怖いと思っていたけど...」
【事例3:故人78歳男性・回答者52歳息子】
父が、お迎えが来たようなことを言うので、私が「亡くなった母が迎えに来るまでは行かないように」と言うと、うなずいていました。だから、父が亡くなった時は、母が迎えに来たものと思っています。
【事例4:故人93歳女性・回答者年齢不記載・息子の妻】
義母に幻覚が現れたのは、亡くなる1か月くらい前です。家族が「だれかいるの?」と聞くと、「男の人」「女の人」と具体的な名前は言わず、一瞬ニコニコしていました。「お爺ちゃんが来たの?」と聞くと、「いなくなった」と答えました。しばらく穏やかな幻覚が続きました。ある時など、「お婆ちゃん、お爺ちゃんだったら一緒にお茶を飲みましょうか?」と声かけして2人で笑ったこともありました。
【事例5:故人79歳女性・回答者55歳息子】
母の認知症が進行していたし、幻視・幻聴が起こっていたので、会話を成立させることがほとんどできない状態だった。そんな状態でも母の表情がハッキリ変化するので、何か素晴らしい情景を見ている事は判断できた。とても素晴らしい輝きのある表情だった。
【事例6:故人81歳女性・回答者56歳息子の妻】
義母本人が「何か見える」と語ったことはありませんが、最期の日に、16歳だった孫娘が「背広姿の男の人と着物姿のお婆さんが来ている」と言いました。義母には(亡くなった)母親と(夭逝した)息子がおり、「その2人だね」と家族で語りました。枕経の時も孫娘は「この光景は少し前、夢で見た」と言いました。嘘をつくような子ではないので、そんなこともあるのかなと......。