期限の切れた食品を「明記」して売って、苦情が来たことはない
消費者庁の見解は「指導対象」と手厳しいが、実は国内にも賞味期限切れの商品を扱う小売店はすでに存在する。東京・亀戸に店舗を構える個人経営の小売店「サンケイスーパー」だ。店内に「もったいない棚」という販売スペースを設け、少なくとも10年前ほどから、賞味期限の過ぎたジュースやインスタント食品などの食品を格安で販売しているのだ。
同店は、J-CASTニュースの取材に「賞味期限が切れていることを明記して販売していますので、これまで購入者からクレームが来たことはありません」と回答。店では賞味期限切れ商品の販売を以前から続けているというが、これまで保健所や自治体から指導を受けたことはないそうだ。
また、15年2月にオープンした通販サイト「KURADASHI.jp」(運営会社・グラウクス)の活動にも注目が集まっている。同サイトでは、賞味期限の迫った商品や販売終了商品など、これまで廃棄されていた食品をメーカーから引き受け、定価より約30~90%割り引いて販売している。
だが、同サイトでは「賞味期限の切れた食品」は扱っていない。その理由について、グラウクスはJ-CASTニュースの取材に、「そもそも、賞味期限の過ぎた廃棄品というのは、国内にはあまり存在しません」と説明する。
「国内にある食品メーカーの多くは賞味期限が切れる前、つまり一般の流通ラインに乗せられなくなった段階で商品を廃棄してしまいます。そのため、『KURADASHI.jp』では、賞味期限の切れた食品ではなく、大量に存在する賞味期限内の廃棄品を扱っています」
メーカーがこうした対応をせざるを得ない消費のあり方に根本的な問題がありそうだ。