環境省、一転「石炭火力容認」は経産省の筋書き通り? 温暖化ガス削減は本当に進むのか

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背景には「インフラ輸出」で日本のビジネスチャンス

   実は、今回の環境省の方向転換は、安倍内閣のインフラ輸出戦略が深くかかわっている。

   石炭火力は、液化天然ガス(LNG)や石油などの発電所と比べて燃料価格が割安なことから、経済成長したい新興国や途上国の需要は高まっている。さらにいえば、石炭火力に頼らざるを得ないというのが現実だ。しかし、LNG火力などに比べCO2の排出量は多い。そのため、経済協力開発機構(OECD)は、効率が悪い発電施設の輸出については公的融資を2017年1月から禁止するということで合意した。逆に、発電効率が高くCO2排出量が比較的少ない石炭火力の輸出はOKということになり、世界でも最先端の効率を誇る日本には、輸出というビジネスチャンスになる。同時に、世界全体のCO2の排出削減にも貢献できるという一石二鳥というわけだ。

   だが、NGO関係者は「世界の温暖化の実態を考えると、あまりに悠長」と指摘する。パリ協定の「気温上昇2度未満」という目標達成のためには、世界の石炭火力からのCO2排出量は2030年時点で20億トンに抑える必要がある(世界の気候変動研究機関でつくる「クライメート・アクション・トラッカー」試算)のだが、既存の発電所だけでも55億トンの排出があり、計画中のものが全て動けば120億トンにも膨れ上がる。

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