環境省、一転「石炭火力容認」は経産省の筋書き通り? 温暖化ガス削減は本当に進むのか

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   地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電所の新設について、これまで異議を連発していた環境省が2016年2月、容認に転じた。発電効率の悪い石炭火力の新設は認めない、電力業界全体が排出削減の仕組みを設ける――などが前提だが、CO2削減につながるか、疑問も指摘される。

   15年12月の国連の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定には、世界の気温上昇を2度未満に抑える目標が盛り込まれた。日本政府はCOP21に向け「2030年までに温室効果ガスを2013年比26%減」とする新たな目標を決定。この前提として、2030年時点の電源構成(エネルギーミックス)で石炭火力の割合を、現在の30%から26%に減らすこととしたばかりだ。

  • 環境省が方向転換した裏にあるものとは
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昨年までは「是認しがたい」という方針だったが...

   電力業界では原発停止の長期化に加え、16年4月の電力自由化に向け燃料コストの安い石炭火力の新設計画が相次いでいるが、環境省は削減目標達成が難しくなるとして、環境影響評価(アセスメント)法に基づき、5件の新設計画を「是認しがたい」として認めない考えを示してきた。石炭火力を巡り事態がこう着する中、経済産業省が打開に動き、環境省の納得を得られる仕組みをまとめた――というのが、今回の環境省の方針転換に至る経緯だ。

   ポイントは、電力業界全体の温室効果ガス削減の仕組み作りだ。大手電力だけでなく新規参入する電力事業者(新電力)も加わった計36社が16年2月8日にCO2の排出削減計画を管理する団体を設立。電力業界は2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で1キロワット時当たり35%削減する自主目標を掲げているが、新団体が各社にCO2削減計画や実績値の提出を求め、進捗状況を毎年確認し、経産省に報告することになった。

   そして、経産省は、法的枠組みも含めて業界を指導し、削減を実効あるものにする。具体的には、省エネルギー法の「告示」を改正し、発電効率の低い石炭火力を建設できなくするほか、電力会社に対し、総発電量に占める再生可能エネルギーや原発などの非化石燃料の比率を44%以上とすることを義務づけ、取り組みが十分でなければ指導・勧告する――というもの。

   電力業界の自主的な取り組みの実施を経産省が法律で担保し、環境省がチェックする仕組みということだ。丸川珠代環境相は、経産省との合意発表後、「経産省が実効性を我々と一緒になって担保すると理解した」と、石炭火力の新設を認めた理由を説明。林幹雄経産相は「電力の自由化とCO2の削減、両方を進めていく」と胸を張った。

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