6月1日衆院解散、7月10日衆参同日選挙というシナリオ?
元々、安倍政権は、参院選に向けて、経済政策を慎重に運営する段取りを描いていた。16年春闘では過去2年に引き続き、経営側の尻を叩いて賃上げを実施させるとともに、2015年度補正予算に盛り込んだ低所得の年金受給者への3万円給付も3月中に受け付けを始め、夏に向けて個人消費を盛り上げる。また、15年来のプッシュで経団連に事実上、約束させた「設備投資上積み」の数字が、各社から「新年度の計画」として、今後、続々と出てくるはずだ。
さらに、1億総活躍国民会議や経済財政諮問会議では、「子育て支援」「介護離職防止」などとともに、「同一労働同一賃金」まで打ち上げるなど、中期的な政策を詰めており、5、6月に今後の経済運営の大きな方向を示すことになる。
安倍政権としては、こうした手順を踏んだ上で、参院選を万全な態勢で迎える戦略だった。6月1日に衆院を解散、7月10日に衆参同日選というシナリオもささやかれてきた。
そうしたなかで、年明け以降の世界的な金融不安で日本も円高・株安に見舞われた。安倍政権のシナリオに陰りが出てきているという懸念から、政権・与党内から景気対策を求める声が上がっている、というわけだ。