「解散・同日選」前提のアベノミクス下支えか 予算成立前に「経済対策」が語られ出した

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   総額96兆7218億円にのぼる2016年度予算案は、3月1日に衆院を通過する見通しになり、3月末までの「年度内成立」が確実になった。と、思ったら、早くも政府・与党では景気対策の声が出始めた。

   16年の年明け以降の世界的な株価下落など金融不安が背景にあり、市場では「補正予算5兆円」といった声も飛び出す。16年夏の参院選に向けて経済のテコ入れが欠かせないということだが、アベノミクスの失敗を認めることになりかねない面もあり、果たしてこの動き、吉と出るか凶と出るか。

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財務相「必要と判断すれば機動的に対応していく」

   予算案審議の最中に政府・与党側が追加の景気対策を口にするのはタブー。野党は当然ながら「予算案が不十分なら組み替えろ」と求める。年度内成立が固まったとはいえ、参院審議前でもあり、常識的には国会審議をないがしろにするものとのそしりは免れないのだが、「安倍一強」の故か、政権内で景気対策に関する発言が出始めた。

   麻生太郎財務相は2月23日の衆院財務金融委員会で、追加の経済対策に関して「必要と判断すれば機動的に対応していく」と言明。2016年度予算の成立直後に補正予算案を編成する可能性について「経済状況による」と、否定しなかった。

   与党の声はもっと露骨だ。自民党の二階俊博総務会長は22日の党役員会で「経済対策を議論すべきだとの声が出ている」と指摘。選挙を控えた参院側は、より前のめりで、吉田博美参院国対委員長は23日の記者会見で「きちんとした対策は必要だ」と打ち上げた。

   さらに、安倍晋三首相の経済政策のブレーンである本田悦朗内閣官房参与は、日銀の金融緩和とともに、「政府も経済対策の実施など財政面から景気を下支えする必要がある」(「読売」2月23日朝刊)と訴えている。

   市場の声も具体的になっている。藤戸則弘・三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部長は早くも2月15日付のリポートで「できるだけ速く、財政出動の景気対策、金融政策、為替介入策を含めた『総合経済対策』を煮詰めることが重要だ」として、「補正予算3.3兆円枠に、さらに上積み」を求め、日経23日夕刊では「5兆円規模の補正予算を打ち出すべきだ」と提言している。

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