ビタミンDが不足すると、認知症の前段階という認知機能障害になるリスクが3倍以上高まるという研究をシンガポール国立大学医学大学院のチョイライ・チェイ氏がまとめ、2016年1月末に鳥取市で開かれた日本疫学会で発表した。
こうした報告は欧米人を対象にした研究ではいくつかある、アジア人が対象では初めてという。
キクラゲやイクラ、スジコ、アンコウの肝を食べよう
チェイ氏らは、認知機能が低下していない60歳以上の中国人1202人(平均年齢80歳)から採血して血液中のビタミンD濃度を調べ、約2年間の追跡調査を行った。期間中に認知機能が低下した人々の血液を分析した結果、血液中のビタミンD濃度で4つのグループに分けたうち、最も低い人たちでは、最も高い人たちに比べ認知機能障害になる危険性が3.17倍にも上った。
チェイ氏は「(欧米での)これまでの研究と同様の結果が確認された。今後、ビタミンDを補うことで認知機能の低下を防げるのかどうか徹底的に調べたい」とコメントしている。
ビタミンDは魚介類やキノコ類に豊富で、イクラ、スジコ、アンコウの肝、イカナゴ(煮干し)、シロサケなどに多い。特に、乾燥したキクラゲには魚介類の10倍以上も含まれており、キクラゲの戻し汁を調理に使うのがオススメだ。
また、10分から20分間、日光に当たると皮膚がビタミンDを生成するので屋外での運動も必要だが、紫外線を浴びすぎないよう注意したい。