鴻海「シャープ買収」は本当に実現するのか 広報も「これマジ?」とつぶやく大混乱

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   台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業のもとで経営再建を目指すことを2016年2月25日に決めたシャープに、その支援を「破談」に追い込むような重大な問題が、新たに浮上した。

   鴻海は、シャープから買収を受け入れる前の24日に受け取った、新たな「重要情報」を精査するため、買収の正式契約を延期すると発表。買収が成立すれば、日本の大手電機メーカーが外国資本の傘下に入る初めてのケースとなるが、鴻海はいつまで延期するかは言及しておらず、先行きは不透明になってきた。

  • 鴻海の「シャープ買収」は実現するのか? (画像は、シャープのホームページより)
    鴻海の「シャープ買収」は実現するのか? (画像は、シャープのホームページより)
  • 鴻海の「シャープ買収」は実現するのか? (画像は、シャープのホームページより)

シャープが受け入れを決めた後に、鴻海が契約延期を発表

   鴻海精密工業による買収の正式契約が延期されることが明らかになったシャープの株価は2016年2月26日、3日続落。一時は前日比24円安の125円まで下落した。終値は17円安の132円だった。

   この日のシャープ株の「売り」材料になったのが、前日に鴻海が明らかにした「重要情報」の存在だ。鴻海の声明文によると、シャープが2月24日朝に新たな重要文書を鴻海側に提示したため、鴻海はシャープに対して、「内容を精査しなければならず、両社の共通認識が成立するまでは調印をしばらく見合わせる」と伝えた。しかも、25日のシャープの臨時取締役会が行われる前夜のうちに伝えたというのだ。

   さらには、その情報の内容が「偶発債務」についてだった。鴻海は、重要情報の中身については明らかにしていないものの、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)が、関係者の話として「鴻海はシャープから、将来、発生する恐れがあるソーラーパネルの米国における訴訟など約3500億円の債務リストを受け取った」と報じた。そのリストは「100項目」にのぼっているという。

   この報道に対して、シャープは26日、「当社の発表に基づくものではありません」と発表。そのうえで、「当社は鴻海との間で、当社の潜在的なリスクを含む経営状況に関する確認作業を行うなど、最終契約に向けて協議しています」と、コメントしている。

   偶発債務とは、係争事件にかかる賠償義務や現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のある債務で、その内容と金額を決算書や有価証券報告に注記する必要がある。

   シャープが有価証券報告書で開示している偶発債務は2015年12月31日(2016年3月期第3四半期)時点で、従業員住宅資金借入に対する債務保証が125億円、ソーラーパネルの原材料(ポリシリコン)関連として283億円、生産拠点で使う電気などの供給にかかる長期契約関連として396億円を記載。その他に具体的な金額の記載はないが、TFT液晶ディスプレイ事業について欧州委員会競争総局などから調査を受けていることや、北米での損害賠償請求の民事訴訟を提起されていることが記されている。

   つまり、シャープが把握している偶然債務は804億円で、報じられている「3500億円」と大きくかけ離れていることになる。実際には、どのくらいになるのか――。

   シャープは、偶発債務について「会計基準に基づき、有価証券報告書、四半期報告書などで適切に開示しており、その他に開示が必要と認識しているものはありません」と話している。

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