溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染患者数が、過去最多のペースで増えている。国立感染症研究所によると、2016年に入って全国の医療機関における患者数は過去10年で最多となっている。
溶連菌は子どもが感染しやすく、38度程度の発熱やのどの痛みを伴う。舌の表面に赤いブツブツが現れる「イチゴ舌」と呼ばれる症状が特徴だ。適切な治療により、たいていは発症しても極度に悪化することなく快復するが、まれに命にかかわる「劇症型」になる患者もいる。2016年2月23日放送の「あさチャン!」(TBS系)では、劇症型により右足切断となった男性が登場した。最初は右足の指に血豆のような小さな赤い斑点が出来て、特に変化もなかったので放置していたところ急激に症状が進んだという。4度の手術の末に命はとりとめたが、代わりに右足を切断せざるを得なくなった。
溶連菌が皮膚の傷口から入って深部まで達し、体の組織の壊死を起こしたり、血液の流れの中に入って敗血症になったりすることがあると、番組で医師が指摘した。「人食いバクテリア」と呼ばれるのは、こうした深刻な症状につながる危険があるため。感染してもほとんどのケースでは症状が軽く済むので、むやみに心配する必要はない。ただし、糖尿病など持病を抱えて免疫力が落ちている高齢者は、劇症型になる可能性が高まるという。うがいや手洗い、マスク着用といった予防がとても重要だ。