トマト栽培のプロ、味覚のプロが活躍
国内の農家がトマトを栽培するうえでの指導役が、カゴメ社内にはいる。「フィールドマン」と呼ばれ、畑に出向いて土を見ながら水や肥料をどのタイミングでまくか、栽培の過程で病気になったらどうするか、といった具体的なアドバイスを随時送る、いわば「トマトづくりのプロ」だ。一方、海外では数多くの輸入先を確保し、ある場所で不作でも別の場所からトマトを仕入れられる態勢を取り生産上のリスクの芽を摘み取っている。
ジュースの品質やおいしさの追求は、「生のトマトを絞った味わいに近づけたい」との強い思いが推進力だ。そのひとつに、カゴメ独自の「RO技術」がある。トマトにあまり熱を加えず、じっくりと水分を抜く加工法だ。こうして濃縮すると、栄養はもちろん香りや風味が残る。さらに「味覚のプロ」の活躍も大きい。製造工程で「この味に問題ないか」を判別するエキスパートだ。同じ色形のコップを複数用意して、それぞれ別のメーカーのトマトジュースを入れ、飲んだ後に「どこの商品か」をピタリ当てられるほどの優れた味覚を持つ。
消費者の健康に対する意識は、近年高まっている。ライフスタイルや味の好みも変化している。その影響からか、以前は食塩入りが最も売れ筋だったが、今日では食塩無添加の製品の売り上げが逆転してしまった。これは「トマトがおいしくなってきた」という事実もある。
機能性表示食品となったトマトジュースについて、店頭では「生のトマトから作ったジュース」「添加物により機能を高めたわけではない」点が評価されているという。自然由来へのこだわりは、日本で初めてトマトジュースを世に出したカゴメの、トマトやリコピンを長年研究してきた自負に基づいているようだ。