化成品メーカーのオカモトが、コンドームの世界記録をめぐって中国で裁判を起こされ、その判決が話題になっている。訴訟は、元々オカモトが持っていた「最も薄いラテックス(ゴム)製コンドーム」のギネス記録を更新した中国メーカーが、オカモト側に対して「世界で最も薄い」といった表記をやめることや損害賠償の支払いを求める内容で、2016年2月22日に広東省広州市の裁判所で判決があった。
判決では中国メーカー側の訴えを認めたが、中国メーカーが求めていた損害賠償額は、わずか「1元」(17円)。そもそもオカモト側はかなり以前に「最も薄い」という表記をやめており、話題づくりのための訴訟だという見方がもっぱらだ。
ゴム製で0.038ミリと0.036ミリの争い
オカモトは厚さが0.03ミリ台の「003(ゼロゼロスリー)」を03年11月に発売。発売から10年近く経った12年1月末になって、ギネス記録に認定された。オカモトが持っていた記録は「0.038ミリ」だが、後に中国の「広州大明連合ゴム製品」が0.036ミリの製品を開発し、14年2月に新たなギネス記録として認定された。
これを受け、15年2月になって中国メーカーが提訴。判決ではオカモト側に「最も薄い」という表記の製品の販売をやめ、1元を支払うように命じた。
不可解だと受け止められているのが、この「1元」という賠償額だ。オカモトによると、「最も薄い」と表記していたのは、自社の記録が認定されてから半年~1年程度。13年10月に日本で始まったギネス認定記念キャンペーンも14年3月末には終了していた。キャンペーン終了から提訴までには1年近くのタイムラグがある計算で、提訴時点では「最も薄い」という表記入りの商品はほとんど市場に流通していないとみられる。実質的な中国メーカー側の損害はきわめて少なかった可能性が高く、こういった背景が「1元」という請求額に反映されているとみる向きも多い。提訴自体が「売名行為」だという批判も出そうだ。
オカモトの経営管理室では、
「訴訟には粛々と対応してきた。判決が届いてから対応を検討したい」
と話している。