良い文章を書きたかったらキーボードはゆっくり片手で打つのがオススメという研究結果をカナダのウォータールー大学のチームがまとめ、英の心理学誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・サイコロジー」(電子版)の2016年1月20日号に発表した。
早く文章を仕上げたい向きには勧められないが、行き詰った時は片手で打つといい表現が頭に浮かびそうだ。
研究では、学生たちに「学校生活の思い出」などいくつかのテーマを用意し、エッセイを書かせた。その際、それぞれを両手による入力と片手だけによる入力、のどちらかの方法で書いてもらった。
出来上がったエッセイを、テキスト分析ソフトを使い、語彙(ごい)の豊富さや洗練度、文章のシンプルさ、テーマの凝縮性などについて評価した。その結果、多くの学生が片手だけで入力した作品のほうが良い結果を得た。
研究チームによると、高速でキーボードを打つと、心に浮かんだ最初の言葉を打ち込んでしまうが、片手だけで入力した場合、書き手は言葉を選び出すことに時間をかけるので言葉のバラエティーが増すという。研究者は「書くという行為は、表現のために使うツールと、私たちの思考との間の相互作用による産物なので、絶えず考えることが大切」とコメントしている。