週に3回以上食べると、特に女の子が太っちゃう
一方、ギリシャのクレタ大学は、妊婦の魚の摂取量と子どもの肥満の関連を調べた。対象は、ギリシャ、ベルギー、米国など7か国の計2万6184人の母親とその6歳までの子どもたちだ。
米食品医薬品局と米環境保護局では、妊婦に毎週3回魚を食べることを推奨している。そこで、研究チームは、母親が週何回魚を食べたかを基準に子どもたちの2歳・4歳・6歳の時点での体重を測って比較した。すると、週3回以上食べた妊婦の子どもは、それ以下の子どもに比べ、肥満度を示す体格指数(BMI)が高かった。特に女の子にその傾向が顕著だったという。
また、魚を推奨量以上に食べた妊婦では、週1回以下の妊婦に比べ、子どもの2歳までの成長が早まり、4歳・6歳の時点で過体重や肥満と診断されるリスクが高まる傾向が見られた。
この結果について、専門家の間で、魚に含まれる水銀や汚染物質が肥満と関係しているのではないかという指摘があったこともあり、同大のレーダ・チャチ博士は、なぜ魚の摂取と肥満が関連あるのかは説明はせず、「汚染物質との関連は推測に過ぎず、因果関係は証明されていない。研究はまだ始まったばかりだ」と慎重にコメントしている。
日本の厚生労働省は2011年に改訂した「魚介類に含まれる水銀について」という通達の中で、「基本的に魚介類は妊婦にとって優れた栄養特性を持つ利点の多い食品ですが、水銀濃度の高いものはさけて魚食のメリットを活かすこととの両立をはかるべき」と述べている。通達の別表で、魚の種類ごとに細かく1週間ごとの摂取グラムの目安を表示しているが、全体としてどのくらい食べればよいのかわかりづらい内容だ。