人材会社、国の「助成金」で稼ぐ裏ワザ? 企業に社員の退職促して再就職支援...

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   企業が事業の縮小や再編・転換を理由に労働者を解雇、再就職をあっせんするために国が支援する「労働移動支援助成金」(再就職支援奨励金)制度が悪用されるケースがあり、厚生労働省は2016年4月から受給要件を厳しくする。

   この制度はアベノミクスの成長戦略の一つとされ、業績不振の企業に人員整理を促し、人手不足の成長企業に労働者をシフトさせるのが目的。2014年3月に制度を大幅に拡充していた。

  • 厚労省、「再就職支援奨励金」の支給要件を4月から厳しく!
    厚労省、「再就職支援奨励金」の支給要件を4月から厳しく!
  • 厚労省、「再就職支援奨励金」の支給要件を4月から厳しく!

社員が再就職に失敗しても、企業には助成金が

   再就職支援奨励金は、助成を受けたい企業が、まず雇用対策法に基づく「再就職援助計画」を作成してハローワーク(公共職業安定所)に提出。所長の認定を受ける必要がある。計画の認定を受けた後、実際に再就職を支援してもらう人材会社と委託契約を結び、「求職活動支援基本計画書」などを作成して各都道府県にある労働局に申請。審査を経て承認されれば、助成金が下りる。

   2014年3月には、新たに大企業が対象に加わったほか、助成金を申請した企業が受け取れる転職支援費用(助成金)が、それまでの半額から3分の2に拡大された。

   助成金額は、委託時に一人あたり10万円。対象となる労働者が45歳未満であれば6か月以内、45歳以上は9か月以内に再就職が実現すれば、その時点で一人あたりの委託費用の3分の2から委託時に支払われた10万円を差し引いた金額が助成される。

   大企業と中小企業、また対象者が45歳以上と45歳未満の場合で異なり、たとえば再就職の支援費用が、大企業に勤務する45歳以上で1人50万円かかった場合であれば、23万3300円になる。再就職に成功すれば、合計で33万3300円が企業に入るわけだ。

   ただし、再就職に失敗しても委託時の10万円を企業は受け取れる。

   そうした中で、この仕組みが人材会社に悪用されているとの指摘がある。企業側にとっても、労働者の再就職がうまくいこうがいくまいが、人材会社に転職支援を委託すれば助成金の一部を手に入れられるため、転職支援の名を借りた退職勧奨の「道具」と指摘されているほか、勢い、退職強要のケースも懸念されている。

   ある社会保険労務士は、「人材会社は事業の効率化やリストラ計画の策定などを幅広く提案でき、そのうえ退職勧奨の手法までアドバイスできます。リストラを考えている企業に対して、そういった費用をディスカウント(助成金を充当)できるので、『実質的な費用を抑えられます』といったセールストークで売り込んでいます」と話す。

   また、人材会社であれば、リストラ相談から退職者の再就職支援、再就職先のあっせんまでをまとめて面倒みられるルートを抱えているので、「出来レースの可能性だって否定できません」という。結果として、国の助成金が企業の契約を通じて人材会社に流れている形になる。

   管理職ユニオンによると、「大企業でも、人材会社を使って退職強要を行う企業があり、多くの相談が寄せられています」と話している。

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