かつては「デフレの勝ち組」とまで言われた日本マクドナルドは復活できるのか――。日本マクドナルドホールディングス(HD)が2016年2月9 日, 15年12月期決算を発表した。売上高は前期比14.8%減の1894億円となり、2013年12月期以降、3期連続で二ケタのマイナスを記録。当期純利益は347億円の赤字(前期は218億円の赤字)で、2001年の上場以来、過去最悪になった。
これは、もはや食材をめぐる不祥事で一時的に業績が下押しされたということではない。日本マクドナルドは構造的な顧客離れから脱することのできない、深刻な状況に追い込まれていることを示している。黒字転換を目指す16年12月期決算に向け、正念場の1年が始まった。
「低価格」以外の魅力をアピールできていない
同社は創業者の故・藤田田(ふじた・でん)氏が米マクドナルドと折半出資して設立され、1971年7月に東京の銀座三越1階に日本1号店をオープン。店舗数は1976年に100店、1993年に1000店、1999年に3000店を超え、巨大な外食チェーンを築いた。バブル経済の崩壊後も低価格路線で消費者の心をつかみ、「デフレの勝ち組」と賞賛された時期もあった。
しかし、多様化する他の外食チェーンや、総菜類を充実させたコンビニエンスストアとの競争が激化し、2011年12月期まで3000億円を超えていた売上高は、今や2000億円を大きく割り込むまで急減。低価格以外の魅力をアピールできていないという根深い問題を抱える中、食材を巡る不祥事が業績不振に追い打ちをかけた。2014年7月に仕入れ先の中国の食品会社が消費期限切れの鶏肉を使用していたことが表面化し、2015年1月には複数の店舗で異物混入問題が発覚。「食の安全」という面でも、マクドナルドに対する消費者の信頼は失墜した。