料理の材料や調理方法を書いたレシピが、インターネットのブログなどに無断で転載されるケースが増えていることで、料理研究家らが困惑している。
テレビや雑誌などに取り上げられたり、料理教室などでお金をとって生徒に教えたりしたレシピが許可なく公開され、誰でも見ることができるようになることで、「自分のアイデアなのに...」「(お金をとっている)他の生徒に申し訳ない」との思いを募らせている人たちが相次いでいる。
調理の手順や方法は誰でも思いつくので......
インターネットの普及で、身近になってきたのが著作権。「自分の作品がパクられた!」という人はもちろん、自分がオリジナルと思っていた作品が「著作権法に違反している!」と指摘されたり、不安に思ったりする人が増えてきている。
なかでも料理レシピは、自身のブログなどで公表するケースが増えている。また、日本最大級の料理サイト「クックパッド」では、自分が作りたい料理のレシピを簡単に検索したり、作った料理のレシピを手軽に公開したりするケースが目立っている。そうした中で、料理研究家らが自身の料理教室で教えたレシピを生徒などが無断でブログやクックパッドに転載するケースも後を絶たないという。
実は、料理のレシピは基本的に「著作権の保護の対象にはならない」とされる。
知的財産権に詳しい、アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士によると、「まず、著作物として保護の対象となるためには『思想や感情を創作的に表現したもの』でなければなりません。『創作者の個性が表現されていること』が大事なので、同じものをつくれば誰でも基本的に同じ表現になるだろうという表現物や、頭の中で思いついたアイデア自体は保護の対象にはならないとされています。要は、『その人がつくったからこそ、その表現物になる』という関係が必要なんです」と説明する。
たとえば、材料や調理方法などを「レシピ」に表したとしても、肉や水、塩の分量とか、弱火で煮るとか、焼く、蒸すといった調理の手順や方法は、誰でも思いつくようなことなので、著作権保護の対象にはならないというわけだ。
篠田弁護士は、「なかなか思いつかないような独創的なアイデアであれば、法的に保護されるというイメージがあるかと思いますが、あくまで日本の法律では、『アイデア自体』をそのまま保護することにはなっていません」と話す。
つまり、料理専門家らが自身の料理教室やテレビや雑誌などで公開したレシピを、一般の人が自身のブログやクックパッドなどに投稿、公開しても、そのことが著作権法に違反する可能性は低いのだ。