野田氏「首相はうそつき」安倍氏「民主党は負けた」 定数削減「約束」めぐる新旧首相の批判合戦

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   野田佳彦元首相が2016年2月19日の衆院予算委員会で質疑に立ち、安倍晋三首相と久々に「直接対決」した。野田氏は12年11月、首相として党首討論に立ち、13年の通常国会までに衆院議員定数を削減する確約を、当時、野党・自民党の総裁だった安倍氏から得たことを引き換えに衆院を解散し、総選挙で大敗して下野したという経緯がある。

   野田氏は、13年の通常国会までに定数削減が実現されなかったことを質したが、安倍氏は定数削減に向けた動きが進んでいることを答弁し続け、13年の通常国会で実現できなかった理由については答えなかった。野田氏は「いやー、『びっくりぽん』ですね。本当に驚きますね」「国民にうそをついたことということになりませんか?」と、憤懣やるかたない様子だった。

  • 首相経験者が委員会での質問に立つのは異例だ(衆議院審議中継より)
    首相経験者が委員会での質問に立つのは異例だ(衆議院審議中継より)
  • 首相経験者が委員会での質問に立つのは異例だ(衆議院審議中継より)

13年通常国会で定数削減と選挙制度改正をするはずだった

   野田氏と安倍氏の「直接対決」が実現するのは13年6月24日の衆院本会議以来2年8か月ぶり。12年11月14日の党首討論では、早期解散を求める安倍氏に対して、野田氏は

「定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる。それまでの間は議員歳費を削減する」

ことを条件に、

「私は今週末の16日に解散をしてもいいと思っております」

と表明。これに対して、安倍氏は

「来年の通常国会において、私たちは既に、私たちの選挙公約において、定数の削減と選挙制度の改正を行っていく、こう約束をしています。今この場で、そのことをしっかりとやっていく、約束しますよ」

と応じていた。

   だが、12年11月の衆院「0増5減」関連法は可決はしたが、違憲状態を解消するための根本的な定数削減は実現されないままで、自民党は現在、2020年の大規模国勢世論調査の結果に基づいて10減する案をまとめている段階だ。これに対し、安倍氏は野田氏と対決する当日の2月19日午前の衆院予算委員会で、10減を5年前倒して15年の簡易国勢調査の結果に基づいて行う方針を示した。野田氏が質問に臨んだのは、この数時間後だ。

野田氏「約束を覚えているか」安倍氏「実行は簡単ではない」

   野田氏は冒頭、党首討論の内容を引き合いに「約束の中身を覚えていらっしゃいますか」と尋ねた。これに対して、安倍首相は

「政治は結果。定数削減を言うのは簡単だが実際に実行するのはそう簡単ではない」

などと、午前の答弁に至るまでの経緯を約4分間にわたって答弁。

   野田氏は、質問と直接関係しない内容で時間を引き延ばすような答弁のスタイルに

「私が聞きたかったのは、約束の本質的な中身。よく聞いていただきたい」

などと再質問した。質問は、衆院が解散された12年11月16日付で民主・自民・公明の3党で

「衆議院議員の定数削減については、選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行うものとする」

という内容の合意文書をかわしたことを踏まえた内容だった。それでも安倍氏は

「我が党も責任があるが、共同責任。誰かだけに責任があるわけではない」

などと自民党だけに責任があるわけではないなどと主張。解散前に民主党だけでなく自民党も消費税率の引き上げに合意したこと引き合いに、

「同じ約束をしている私たちは(12年12月の衆院選で)勝って皆さんは負けた。そのこともかみしめていただきたい」

と民主党を攻撃し、議場からブーイングが上がる一幕もあった。

   終始議論はかみ合わず、野田氏は

「いやー、『びっくりぽん』ですね。本当に驚きますね」「結果的に、天下の総理大臣にこんなことは言いたくないが、2013年の通常国会までにできなかったということは、国民にうそをついたことということになりませんか?うそをついたことになるんですよ?」

と色をなしていた。

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