バレンタインデー前日、兵庫県三木市議会の女性副議長が市内の支援者たちにチョコレートを配っていたことが報じられ、論議を呼んでいる。
公職選挙法では、政治家が選挙区内の有権者にお金や物を贈ることを禁じている。インターネット上では「これくらいええやん」「習慣・風習の範囲だと思う」との意見が目立つが、たとえバレンタインチョコであっても抵触する可能性がある。
当選お礼と一緒に500円のチョコレート
行動が問題視されたのは、三木市議会の堀元子副議長(52)だ。神戸新聞NEXTの2016年2月19日配信記事によると、バレンタインデー前日の13日、後援会幹事ら計21人の自宅を訪問し、近況報告の手紙にチョコレートを添えて配った。
市選挙管理委員会によると、堀氏は18日朝に同委員会を訪れて事情を報告した。500円程度のチョコレートを配ったことを認め、反省の弁を述べたという。
手紙には2期目当選のお礼や政治活動報告を綴っていたといい、「チョコレートは金額も安く、慣習的なものということもあり、本人は寄付行為に当たるという認識がなかったようです」(市選管担当者)。
本人の認識と同様、ネット上でも「これくらいええやん」「習慣・風習の範囲だと思う」「チョコの中に万札あってから問題にしろ」「たれ込んだヤツが野暮過ぎる」といった声は少なくない。
しかし、公選法が禁止する寄付行為に習慣や金額は関係ない。仮に10円程度のチロルチョコ1個だったとしても同じことだ。
2011年に初当選した堀氏は現在2期目で、副議長を務めている。華やかなルックスで、Facebookのプロフィール画像には「女優さんみたい」「美しい!」とのコメントも並ぶ。バレンタインだから支援者にチョコを...というのは、女性市議ならではの発想だろう。
「うちわ」配布では法務大臣が辞任
政治家の寄付行為をめぐってはこれまでも度々問題が起きて、大きく報道されている。本人が知らなかったとすれば、基本知識が欠けていたとしか言いようがない。
2014年10月には、松島みどり法相(当時)が地元で配布した「うちわ」が国会を巻き込む騒動になった。松島氏は違法性を否定したが、民主党議員が刑事告発する事態に発展。最終的に辞任を余儀なくされた。
その後、東京地検は嫌疑不十分で不起訴処分としたが、当時の報道によれば、うちわを配ったこと自体は「寄付行為」に当たると判断したという。チョコレート同様、単なるうちわであってもNGというわけだ。
ただ、同じ寄付であっても、政党や親族に対するもの、政治教育集会などにおける必要上やむを得ない実費の補償は認められている。
また、結婚披露宴の祝儀、葬式・通夜の香典や供花は罰則の適用から除外されている。ただ、ここで注意しなければいけないのが「政治家本人が出席する場合のみ」という点だ。
2015年11月には、高木毅復興相(60)が代表を務める政党支部と資金管理団体が選挙区内で香典や枕花代を支出していたとして問題視された。
高木氏は、香典については「本人が出席して私費で支出したものを誤って政治資金収支報告書に記載した」と説明。一方、枕花代は後援会が支出したものだとして、「二度と起こらないよう厳重注意した」としていた。