自民党の丸山和也参院議員(70)がアメリカのオバマ大統領にからめて「黒人奴隷が大統領になるなんて」などと発言したことが、さらに波紋を広げている。野党3党のみならず、菅義偉官房長官も苦言を呈す状況だが、いったんは謝罪した本人は、その後「良心において恥じるところは何もない。批判は見当違い」と反論するなど開き直っている。
そんな様子が、放言癖のある米大統領選候補者、ドナルド・トランプ氏(69)と重なったのか、米国メディアは「人種教育の欠如」「日本のトランプ?」などと報じている。
ロサンゼルスの法律事務所に3年間勤務の自信?
丸山氏への風当たりが強い。2016年2月18日午前の衆院予算委員会では菅官房長官が「自らの発言に責任をもって」と注意。民主、社民、生活の野党3党も同日、丸山氏への議員辞職勧告決議案を参院に提出している。
きっかけは、17日の参院憲法審査会で飛び出したこんな発言だ。
「今アメリカは黒人が大統領になっている。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ。奴隷がアメリカの大統領になるなんて考えもしない。(アメリカは)それだけダイナミックな変革をしていく国だ」
アメリカのポジティブな側面やそれを体現するオバマ大統領に触れる中、例えとして「黒人奴隷」を持ち出したが、出席者から批判され、直後の記者会見で「誤解を与えるような発言をしたことを大変申し訳なく思う」と謝罪、発言を撤回した。
しかし、翌18日の国会内会見では一転、「意図的ではない」「良心に恥じることは何もない。批判は見当違いだ」「不条理で怒りを覚える」と相次ぐ批判に反論した。
さらに、「(アメリカへの)尊敬の念がほとばしった言葉が、なぜ人種差別の言葉と受け取られるのか」と改めて持論を展開した。
丸山氏は1975年に渡米。ワシントン大学ロースクールを卒業後、ロサンゼルスの法律事務所に3年間勤務するなど計5年間アメリカで暮らした。そうした経験が、ある意味現在の「自信」につながっているのかもしれない。