フジ系ドラマ「いつ恋」は介護労働への偏見生む? 介護福祉士会「意見書」に「過酷なのは事実」との声続出

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   フジテレビの月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」が介護職のイメージを損ない、人材確保に影響を及ぼす内容だとして、日本介護福祉士会がフジテレビに対し配慮を求める意見書を出した。

   これに対してネット上では、実態を描いて何が悪いのか、という批判が相次ぎ、介護福祉会の中でも意見が分かれた。介護労働の実態をあらためて議論するきっかけになったことは確かなようだ。

  • 有村架純演じる「いつの恋」の主人公杉原音は介護施設「春寿の杜」で働いている(写真はイメージ)
    有村架純演じる「いつの恋」の主人公杉原音は介護施設「春寿の杜」で働いている(写真はイメージ)
  • 有村架純演じる「いつの恋」の主人公杉原音は介護施設「春寿の杜」で働いている(写真はイメージ)

「ドラマを見て身内に介護をやめさせようと思った」

   ドラマは女優の有村架純さん(23)演じる杉原音が主役のラブストーリーで、音は介護施設「春寿の杜」で働いていて、厳しい介護士の職場の様子が度々登場する。

   ドラマへの反響は大きく、日本介護福祉士会は2016年2月10日付けでフジテレビに「意見書」を送り、ホームページで公表した。

   それによると、ドラマを見た人から、番組で主人公は24時間勤務という過酷な労働条件の中、上司やオーナーからハラスメントまがいの仕打ちを受けている。しかも月収は14万円。世間では労働環境や条件が3K、4Kと言われているが、「そうであれば身内が目指している介護の資格取得をやめさせようと思っているのです」というメールが会に届いたのだという。

   福祉士会はこのメールに対し、 多くのマスコミが介護や介護職に関してかなり偏った情報を流しているように感じている、と返答した。働いている施設や持っている資格によって職場の環境や労働条件は異なり、女性の賃金も他の職業とあまり差がない。そして多くの事業所が働きやすい環境作りに真剣に取り組んでいる。介護は3Kなどと言われているけれども、けっして単なる肉体労働のみの仕事ではなく、「人間性」や「考える」ことが求められている。そしてメールの主に、身内の方に是非とも勉強を続けてもらい、自分たちの仲間になってほしいと強く願っている、としたという。

   そのうえで、フジテレビに対しては、ドラマは給与の低さや労働環境の悪さを訴えているのではないことは十分に承知しているけれども、介護人材が不足し国を挙げてその確保・育成に取り組んでいる状況であるため、

「御社ではそのあたりも考慮していただき、番組作りをして頂きますようお願いいたします。介護は決して夢のない仕事ではありません。この仕事に真剣に取組み、一生をかけている人間もいることを忘れないでください」

と要望した。

   意見書を受け取ったフジテレビはJ-CASTニュースの取材に対し、

「このドラマは、さまざまな方から監修を受け、実際の介護の現場を取材した上で制作しておりますが、意見書で寄せられたお考えも、貴重なご意見として今後の参考にさせていただきたいと考えております」

と回答した。

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