ブルーベリーといえば、豊富に含まれるポリフェノール(植物由来の抗酸化成分)のアントシアニンの働きで、目の疲れや美肌づくりに効果があるといわれているが、週に2回食べ続けると、高齢者の呼吸機能の低下を防ぐ効果があることがわかった。
米ハーバード大学のチームが研究をまとめ、米の臨床栄養学誌「AJCN」の2016年2月号に発表した。
命の危険がある怖い「肺の生活習慣病」
近年、慢性閉塞性肺疾患(COPD)という呼吸器の病気が注目を集めている。かつては慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれた病気の総称だ。階段の上り下りや歩いている時に息切れしたり咳き込んだりする。特に喫煙者に多く、40歳以上の日本人の約9%がかかる。ただの咳と侮ってはいけない。重症になると肺炎を始め、全身に炎症が広がり、呼吸困難を引き起こして死に至る。日本人男性の死亡原因の第8位(2014年)なのだ。
最近、糖尿病やがん同様に日々の食生活や運動不足が影響していることがわかり、「肺の生活習慣病」と呼ばれている。米国では、がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、精神疾患と並ぶ「6大疾患」に数えられている。
COPDは、がんや糖尿病など他の生活習慣病同様に加齢とともに増えるが、研究チームは、アントシアニンの強い抗酸化力に着目し、ブルーベリーの摂取量が呼吸機能の低下予防に与える影響を調べた。そこで、平均年齢60歳前後の退役軍人839人が対象に選ばれた。退役軍人は定期的な健康検査で肺活量などの呼吸機能のチェックを受けるからだ。
アントシアニンは黒豆、ナス、ブドウ、紫イモにも
839人の食生活を聞き取り、週に何回ブルーベリーなどアントシアニンを含む果物を食べるかを調査、年次ごとの呼吸機能の変化と比較した。呼吸機能は、瞬間的に吸い込む空気の量(1秒肺活量)と、思いっきり肺の中に吸い込む空気の総量(最大努力肺活量)の2つで測った。
その結果、1週間に2食以上ブルーベリー類を食べた人は、ほとんど食べなかった人に比べ、1秒肺活量の低下が22.5%遅くなり、最大努力肺活量の低下も37.9%遅くなった。つまり、年齢を重ねるごとの呼吸機能の衰えが緩やかになったわけだ。
アントシアニンは、ブルーベリーのほかにビルベリー、カシス、黒豆、ナス、ブドウ、紫イモ、紫キャベツ、紫タマネギなどに豊富に含まれている。美容面だけでなく、命に関わる呼吸のためにも大いに食べよう。