光回線サービスをめぐる勧誘トラブルが多発している。
とくにNTT東日本やNTT西日本とは関係ないにもかかわらず、あたかも関係があるような説明や、電話料金や基本料金が安くなると言って強引に契約を迫る悪質な勧誘が目立つ。国民生活センターにも、2015年1月~16年1月の1年間で9420件にのぼる苦情が殺到している。
きっかけは2015年2月、NTT東西による「卸売り」開始
こうした光回線サービスをめぐる勧誘トラブルは、2015年2月1日からNTT東日本とNTT西日本が光回線の卸売りを開始したことがきっかけのようだ。
異業種からの新規参入を含む多くの事業者(光コラボレーション事業者)が、NTT東西から卸売りを受けた光回線と光電話(IP電話)などのオプションサービスと、プロバイダーや携帯電話などを組み合わせた事業者独自のサービスを、さまざまな料金や契約形態で消費者に提供するようになった。
消費者にとっては契約先の選択肢が増えたが、その一方で卸売りを受けた事業者の勧誘時の説明不足などによってトラブルが増えたとみられる。現在230社の事業者と契約を結んでいるNTT東日本は、「事業者数が増えたことで(トラブルの相談件数も)増えていったようです」と話す。
国民生活センターが2016年2月12日に公表した「光回線サービスの卸売りに関する勧誘トラブルにご注意!」によると、NTT東西から卸売りを受けた事業者が提供する光回線サービスに関する相談件数は、2015年1月~12月に8967件にのぼる。
光回線の卸売りがはじまる直前の2015年1月に4件だった相談件数は、2月に74件、4月460件、6月には861件と急増。9月は1210件と単月ベースで1000件を突破した。その後も12月まで1000件を超えて推移した。2016年1月の相談件数は453件だった。
全国の消費生活センターには、
「大手電話会社を名乗った勧誘で、てっきり新プランへの変更だとばかり思っていた。光回線サービス以外の既契約のサービスが解約になることの説明がなかった」
「料金や速度が勧誘時の内容と異なるので解約を申し出たら、高額な費用を請求された」
「契約に必要な手続きをした覚えがないのに、他の事業者への乗り換えが完了していた」「安くなると言われて契約したのに、知らないオプションを契約させられて変更前より高くなった」
「誤った説明で固定電話の番号が引き継げなかった。セットで契約した携帯電話は中途解約扱いとなり、解約金を請求された」
など、消費者が光回線サービスの卸売りについて十分な理解がないまま契約してトラブルに陥ってしまったケースの相談が相次いでいる。
国民生活センターは、「まず消費者はNTT東西との契約ではなく、事業者との新たな契約であることを理解する必要があります。現在の契約内容や、契約先の事業者名やサービス名、契約内容を確認したうえで検討しましょう」とアドバイスする。