関越トンネルの裏側に潜入
今回はさらに、トンネルで交通事故に見舞われた時の対策を知るため、関越トンネルの「避難坑」に特別に入らせてもらった。
関越トンネルは1985年に現在の下り線が対面通行で、91年に上り線がそれぞれ開通した。完成当時は道路トンネルとして日本最長(現在は首都高速 山手トンネルに続く第2位)を誇り、世界でも屈指である。それだけに、「万が一」への対策が、いたるところに盛り込まれている。
その象徴ともいえるのが、本線と並行して走っている避難坑である。
本線と同じく長さ約11キロ。非常時や点検などにしか使われないにもかかわらず、乗用車2台がすれ違えるだけの広さがある。上りは約700メートル、下りは約350メートルおきに、ここへとつながる非常口が設けられている。トンネル内で大きな交通事故や火災に見舞われた場合、この非常口から避難坑に逃げ込むことになる。避難坑に出ると非常電話があるので、上記の要領で道路管制センターに通報しよう。幸い、開通からの30年余り、この避難坑からドライバーが脱出しなくてはならないような事態は起こっていないそうだ。
なお、この避難坑はトンネル内の換気などを行う各種設備にもつながっている。これらバックヤード部分も含めると、その総延長は実に約40キロ! およそ2時間をかけて案内してもらったが、その全貌はとてもではないがうかがい知れなかった。湯沢に赴任して約2年近くの後藤副所長でさえ、「膨大な設備ひとつひとつ全てを自分の目で確認するにはまだこれから」という。