肝臓の病気を悪化させた男性、脳梗塞一歩手前だった女医
ダイエット開始当時、男性は肝臓を患って通院していた。短期間に10キロの体重増減を2度繰り返したことで肝臓にさらに負荷がかかり、病気を悪化させた。以後、2年間は完全に禁酒せざるを得なくなった。現在はある程度「解禁」しているが、酒量は以前の3分の1程度で、それを超えると「翌々日まで全身がだるい」そうだ。
男性は、本来「ローカーボン」、つまり最低限は炭水化物を摂取すべきだったのだが、炭水化物を一切やめてしまった。このため、ダイエット自体がうまくいかなかったうえ体にも悪影響をもたらしてしまった。
「とくダネ!」でも、10年前に糖質ダイエットにより、3か月で15キロ減量したという「Rサイエンスクリニック広尾」の日比野佐和子医師が経験を語った。3年ほどダイエットを続けていたある朝、目覚めると右腕と右足が全然動かなくなっていたという。
MRI(磁気共鳴画像)検査の結果、「一過性の脳虚血発作」と診断された。脳の細い血管が詰まり、脳梗塞の一歩手前だったのだ。日比野医師は「野菜をいっぱい食べていなかった」と当時を振り返る。バランスの悪い食事が、こうした事態を招いた点は否定できない。そのうえで、糖質を「一切とらない」という過度なダイエットはリスクが高いのではないかと疑問を呈した。
半面、インターネット上には糖質制限ダイエットの効果を称賛する書き込みが少なくない。「2か月で7キロやせた」と成果を喜ぶだけでなく、「糖質抜きなら好きなものが罪悪感抜きに食べられることはうれしい」という声もある。主食は我慢するが唐揚げをはじめ肉料理をたっぷり食べ、晩酌もほぼ毎日との投稿もあった。「とくダネ!」では、極端な低炭水化物食のために高脂肪食になり、その結果、動脈硬化を招きかねないと医師が警鐘を鳴らしていた。
野菜をはじめ食事のバランスを取りながらダイエットに励む人は少なくない。一方で糖質制限に気を取られるあまり、本来必要な栄養を十分とらないで体調を崩しては、元も子もない。