クサい男はクビになるってホント?

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   「スメルハラスメント(スメハラ)」という言葉をしばしば耳にするようになった。口臭や体臭がひどく、自分が発するにおい(スメル)が周りに不快感を与えるという意味だ。

   あまりにもくさいと、職場を解雇される――そんな話もチラホラ聞こえてくる。

  • クサいヤツには、米大統領選に立候補しているあの大富豪が黙っちゃいない、はず(イラスト:サカタルージ)
    クサいヤツには、米大統領選に立候補しているあの大富豪が黙っちゃいない、はず(イラスト:サカタルージ)
  • クサいヤツには、米大統領選に立候補しているあの大富豪が黙っちゃいない、はず(イラスト:サカタルージ)

勤務先から改善や治療を求められても断った末に

   「体臭で解雇」の事例は、インターネット上で複数見つかる。税務会計や人事労務をはじめ経営全般のコンサルティングを手掛けるTOMAコンサルタンツグループの2011年10月17日付ブログには、同社の顧客企業に勤務していた営業職の社員について書かれていた。何日も入浴せず、身なりもひどく、商談で接した相手からクレームを受け、社内でも悪臭を放っていたという。

   この人物の勤務先の就業規則には、「髪型・服装・化粧等は職場・職務にふさわしいものとすること」とあり、これに違反して改善の見込みがない場合は懲戒解雇になると規定されていた。会社側はこの社員に何度も改善を促し、指導してきたが本人に意欲が見られない。1年に渡って働きかけ、改善への「最後通告」もむなしく本人は変わらず、最終的に解雇に至ったという。

   「週プレNEWS」2013年8月20日付記事は、体臭が原因で居酒屋の副店長の仕事をクビになった人の話だ。周りのバイトは辞め、クレームが相次ぎ、常連客も来なくなり、売り上げも落ちた。店側から治療を受けるよう指示されたが、拒んだところ解雇された。本人は納得していないようだ。

   労働問題に詳しいジャーナリストの金子雅臣氏が、記事にコメントを寄せた。客からのクレームという客観的な証拠がある点で、店に実害を与えていたとみられ、かつ店側からの治療要請も断ったことから、解雇はやむをえないとみる。

   米国では2014年2月、「オナラ」のにおいがあまりに強烈だとして男性が解雇された。体重190キロの巨漢だった男性は胃のバイパス手術を受けた後、腹部に大量のガスがたまるようになり、頻繁におならをするようになった。これが職場の同僚や訪問客に迷惑をかけているとして解雇されたのだ。男性とその妻は、「不当な差別だ」と会社を相手取って訴えを起こした。

女性の7割が「あなたの体臭を何とかして」

   とは言え、「体臭が原因でクビ」という事例は、さすがに多くはないようだ。ただし、職場で最も嫌われるのが「クサい人」という調査結果はある。

   マンダム(本社・大阪市)が2014年6月3日に公表した調査結果(1117人が回答)では、「職場の身だしなみでどうにかして欲しいこと」の1位は体臭で、60.4%に達した。特に女性は敏感で、およそ7割が「体臭を何とかして」と思っているようだ。続く2位は口臭の57.8%と、これまたニオイだった。

   さらに、回答者のうち34.8%が「他人のニオイ(体臭)が気になって仕事に集中できないことがある」とし、「気分が悪くなった」「商談中、相手の話が全く入ってこなかった」といった「実害」を挙げていた。相手が「におう」と感じた場合、42.1%の人が「一緒に仕事をしたくないと思う」と厳しい。半面、64.5%が「ニオイ(体臭)が改善されたら、その人に対する意識は変わる」と答えている。

   銀座のクラブ経営者、伊藤由美さんは著書「スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人」の中で、出世できないタイプの筆頭に「クサい人」を挙げた。周囲に気配りができず、自己管理も甘いという。自ら悪臭を放ち、周りの注意にも耳を傾けなければ、たとえクビにはならなくても人生で大きくつまずく恐れはある、というわけだ。

   一方で、すぐさま改善に動けば「レッドカード」は避けられそう。自分の心がけ次第で未来は開けるかもしれない。

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