「今年のガリガリ君は攻めてないね」と批判
そもそも、いったいなぜ赤城乳業は「コーンポタージュ味」や「ナポリタン味」といった変わり種商品を発売したのか。マーケティング部長によると、その理由は「大手コンビニエンスストアのバイヤーに発破をかけられたのがきっかけ」だという。
赤城乳業は2010年から2年連続で「ガリガリ君」シリーズが品薄状態となり、マスコミや流通から批判を浴びた経験がある。こうした経緯もあり、12年は「安定供給」を目標として、販売予測が立てやすい商品を中心に展開していた。
「ガリガリ君」は毎年夏に新商品を発売していたが、商品の供給を優先した12年は開発にまで手が回らなかった。そんな折、赤城乳業はある大手コンビニのバイヤーに「今年のガリガリ君は攻めてないね」と批判を受けてしまった。さらに、「ガリガリ君は常に遊び心を持って新しいことにチャレンジしてほしい。赤城乳業にはその責任、義務があると思う」と発破までかけられたそうだ。
このバイヤーの言葉に、「正直、馬鹿にされたと思いました」「それならやってやろう」と発奮した社員が手掛けたのが、12年9月に発売され大ヒットを記録した「コーンポタージュ味」だった。この商品に使ったPR予算は15万円だったというが、ネット上で大きな話題を呼んだことで各局のワイドショーがこぞって取り上げ、最終的には広告費換算で5億5000万円もの宣伝効果をあげたという。
ところで、赤城乳業が再びナポリタン味のような変わり種商品を発売する可能性はあるのだろうか。同社は、「構想はあるのですが、販売となるとハードルが高いのが現状です。お客様の期待も高くなっている上に、1度ナポリタンで大失敗していますから......。なかなか難しいですね」と答えた。