「糖質制限ダイエット」の第一人者として知られるノンフィクション作家の桐山秀樹さん(61)が急逝した。
診断書に書かれた死因は心不全とのことだ。糖質制限ダイエットについては専門家の間でも賛否の意見があるが、桐山さんとともに実践していた男性は「糖質制限が原因で亡くなったのではない」と因果関係を否定している。
3週間で約20キロ減
糖質制限はもともと、糖尿病の予防・改善に効果があるとして注目を集めた食事療法だ。米やパンなどの炭水化物と甘いものを控えれば、あとはお腹いっぱい食べても大丈夫...という手軽さから、近年ではダイエット法としても定着している。
桐山さんが同ダイエットを始めたのは、糖尿病と診断された2010年のこと。これまでのインタビュー記事などによれば、提唱者である高雄病院(京都府)の江部康二理事長が書いた本に偶然出合い、熟読後、すぐに実践したそうだ。すると、87キロあった体重は、たった3週間で67キロになったという。
効果に驚いた桐山さんは、その後、メタボの中年男性たちと「おやじダイエット部」を結成。活動を綴った著書はシリーズ化され、テレビ番組でも取り上げられた。
ただ、糖質制限ダイエットに警鐘を鳴らしている医師も少なくない。「本当は怖い『糖質制限』」(岡本卓・愛し野内科クリニック院長著)「『炭水化物』を抜くと腸はダメになる」(松生恒夫・松生クリニック院長著)といった本も出ており、「死亡率が上昇する」「心臓病、脳卒中になる」と指摘する専門家もいる。
おやじダイエット部メンバー「前夜まで、本当に元気でした」
桐山さんは2016年2月6午前、滞在していた東京都内のホテルで亡くなった。14日夜、妻で文芸評論家の吉村祐美さんが夫のFacebook上で公表した。15日朝には「モーニングショー」(テレビ朝日系)が取り上げたこともあり、ネット上でも話題になった。
中には、
「糖質制限流行ってたけど危ない感じなのかな?」
「桐山氏は第一人者だけに無理したんだろう」
「心不全ねぇ。流行ってたけど3ヶ月で20kgとか逆に怖いよ」
と、糖質制限と結びつけたコメントもある。
だが「おやじダイエット部」メンバーの男性は、Facebook上で
「糖質制限が原因で亡くなったのでなく、心不全・急性心筋梗塞で亡くなったのが、診断書からも明らかです。亡くなる前夜まで、本当に元気でした」
として関係を否定している。桐山さんの死によって糖質制限に関するさまざまな憶測が広がっていることについては、
「糖質制限食が、糖尿病の食事療法の一つである事実は、変わらないです。賛否両論があることも、事実です。そのことは、桐山先生の著書でもよく書かれていました」
とコメントした。その上で、
「長距離の移動と多忙、急激な寒さが重なり、疲労も相当蓄積していたのではと、思い返しています」
と心不全の背景を推察している。
前述の江部理事長も15日放送の「モーニングショー」の取材に対し、「基本的には無関係だと思います」と因果関係を否定。血糖は改善し、正常な数値をコントロールできていたといい、「最初に病院に行った時点で、すでに消えない借金として動脈硬化が心臓と脳にあった可能性が極めて高い」と説明した。