ライバル・ローソン社長とも深い因縁
澤田氏には、コンビニ業界に、もう一つの「因縁」がある。ローソンの玉塚元一社長(53)との関係だ。ファストリで一緒に働き、澤田氏が社長就任を断って退社した後、玉塚氏がファストリ社長に就任した。その玉塚氏も柳井氏との確執が取りざたされるなかで退いた後、澤田氏と玉塚氏が「リヴァンプ」を共同で設立し、企業再生などに力を合わせて取り組んだ――という深い関係なのだ。玉塚氏は一足先に2010年にローソンに転じ2014年に社長に就任、澤田氏が今回、ファミマ社長に就き、同業で相まみえることになった。
両氏の対決に興味は尽きないが、業界を見渡せば、トップを独走してきたセブン-イレブンといかに戦うかという点こそ最大のテーマになる。
ファミマは今回の統合で店舗数は約1万8000店とセブンに匹敵する。ただ、1店の日販はセブンの67万円に対し、ファミマは52万~53万円と、大差をつけられている。ファミマは現在、「600Kプロジェクト」を進め、当面、日販60万円を目指し、「中食構造改革や物流構造改革を進めている」(中山氏)。澤田氏は当面、これを継続することになるが、目標のハードルは低くないし、それを達成しても、かつて関係のあったセブンとの差はなお大きい。
「まずは現場をまわって加盟店オーナー様などからご指導をいただき、徹底的に勉強してきたい」。澤田氏は2月4日の就任発表会見で謙虚に語ったが、どのようなリーダーシップを発揮していくのか、注目される。