韓国で初めてのリニアモーターカーが運行を開始してわずか8分で急停車した、とインターネットで話題になっている。
開通したばかりのリニアモーターカーは、仁川(インチョン)国際空港駅と龍遊(ヨンユ)駅までの6.1キロメートル、6つの駅を約15分で結んでいる。韓国独自の技術開発で、開通前から、日本の「リニモ」(愛知高速交通東部丘陵線)に次ぐ「世界で2番目に商用化された」リニアと熱心にPRしていた。
制限速度を3キロ上回り、安全のため緊急ブレーキ
急停止したのは、開通記念行事で出発した「1番列車」。中央日報日本語版(2016年2月4日付)によると、リニアモーターカーは線路から8ミリメートル浮かび、時速60キロで走行していたという。韓国国土交通省は、「行事の進行をスムーズに行うため、ウォーターパーク駅に停車せず通過したところ、龍遊駅まで約300メートルの地点で車体が落ちて急停車した」と状況を説明。約10秒後には運転を再開し、龍遊駅に到着した。
原因については、「制限速度の時速35キロメートルを3キロ上回ったため、安全のため緊急ブレーキがかかった」とみている。運行システムの設定とおりに安全装置が作動した結果で、車両故障や事故ではないと強調。その後、「1日に47回運行したが他の障害は発生しなかった」と釈明した。3日の営業運転終了後に、「速度制御プログラムを補正した」と伝えている。
韓国版リニアは磁気浮上式で、1989年から研究開発を開始した。韓国機械研究院と現代・起亜自動車グループ系列の鉄道車両専門メーカーのロッテムが共同開発。その名は「マグレブ」。4149億ウォン(約404億円)を投じて実用化した、機関士がいない無人運転方式で、最高速度は時速110キロ。ふだんは時速60~80キロメートルで走行する。1両につき最大230人が乗れて、仁川空港公社は当面無料で運行するという。
韓国機械研究院は、建設費や運営費も「一般の電車より低減できる」と、説明している。
そんな韓国版リニアの「急停車」は、国内でも産経新聞が2016年2月14日付で、「韓国の肝いり『リニア』がわずか8分で運行停止『見切り発車』に追い込まれた理由」の見出しで、「2012年に完成したものの、その後多くの問題が見つかり営業運転ができなかった」と、「いわくつき」だったことを報じた。
現地メディアは、KBSニュースが「磁気浮上列車の故障... 予見された『恥』」、聯合ニュースは「仁川空港磁気浮上列車 開通初日に停止し『恥』」などと批判。韓国の威信は「地に落ちた」と嘆いた。
2007年の商用化を目指していたが、大幅に遅れる
地元・韓国のインターネットでも、
「国の恥だし、国費のムダ」
「横風が吹いたら運休、乗車率が高いと重くて浮かなくなって運休っていうアレか。まだやってたんだ」
「もっと慎重かつ徹底的に修正してくれ」
といった、辛らつな声が寄せられている。
また、日本のネットユーザーからも、
「ま、半年はチャレンジャーしか乗れんな」
「車体だけでなく、建設費も浮かせたんかwww」
「自動停止は働くんだな。凄いやん」
「やっと開業したんだ。不具合解消したのか?」
「自動運転で速度超過するリニアって・・・怖すぎる」
「もしかして『リニア』という名のモノレールか?」
などと、散々ないわれようだ。
じつは、韓国版リニアモーターカー「マグレブ」は当初、2007年の商用化を目指していた。「マグレブ」が公開され、国や自治体の関係者らが試乗したのが2005年5月。ドイツと日本に続き世界3番目に開発された「国産リニア」とのふれ込みで、レールに接しないで走るので騒音、振動がほとんどなく、速度はまだ遅いが実用化に備えて高速化を進める一方で、輸出をも目論むという、いわば国をあげてのプロジェクトだった。
その計画が遅れに遅れて2012年に試運転したものの実用化には至らず、15年6月末には8度目の延期を決め、12月末の期限をさらに延長して、ようやく開通にこぎつけた「念願」の列車のはずだった。
それだけに、韓国や日本のインターネットには、
「大丈夫なの・・・」
という声が後を絶たない。