「糖質制限」に殺到する食品業界 もはやビールだけではない

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「糖質」めぐり相反する「説」の本も話題に

   「糖質ゼロ」をうたった商品開発は、健康指向の高まりとともに、まずビール大手各社で進んだ。糖質やプリン体に配慮した「機能系ビール類」の開発で先行したのは、サッポロビールが2013年6月に発売した「極ZERO」だ。「極ZERO」のヒットで、他の大手3社も「糖質ゼロ」や「プリン体ゼロ」のビール類を次々と発売し、「糖質制限ブーム」に火をつけた。

   糖質制限とは「脂質やタンパク質はしっかり摂取して、血糖値を上昇させる糖質だけは極力減らす食事療法」で、京都市の内科医・江部康二氏(一般社団法人「日本糖質制限医療普及推進協会」代表理事)が第一人者とされる。江部氏は糖質制限を「簡単に言えば、主食を食べない代わりに肉・魚・野菜などのおかずばかりを食べるというイメージだ」と説明。「これまで常識とされてきた『炭水化物(糖質)中心の食事』は、医学・生理学・栄養学的根拠が乏しく、むしろ多くの疾患の要因となっている可能性がある」という。

   糖質制限をめぐる本も数多く出版されている。2015年11月には「糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事法ロカボのすべて」(山田悟著、幻冬舎新書)、「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」(宗田哲男著、光文社新書)が相次いで出版され、いずれも書店によってはベストセラーに名を連ねている。

   一方で、「世にも恐ろしい『糖質制限食ダイエット』」(幕内秀夫著、講談社+α新書)など、糖質制限には批判もある。幕内氏は「メタボの中高年男性、糖尿病患者が短期的に行う上では体重減少効果が期待できるが、必須栄養素が不足する危険が高い方法で、決して長期にわたって実行してはならない」と警鐘を鳴らす。とくに「女性が行えば、極端に痩せ、生理が止まり、不妊になり、各種婦人病になる危険性が高まるリスクがある」と指摘している。

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