乳がんは日本人女性が発症するがんの1位で、12人に1人が生涯にかかるといわれる。しかも、女性ホルモンが影響するといわれ、若い世代の発症率が高いのが特徴だ。
その乳がんを防ぐには、高校生の時から食物繊維の豊富な食事をとると効果があることが初めてわかった。米ハーバード大のチームが研究をまとめ、米小児科学誌「AAP」(電子版)の2016年2月8日号に発表した。
閉経前の若い時期での発症リスク24%減
研究チームは、しっかりした健康記録がある米国看護師健康調査の中から1991年当時27~44歳だった女性9万534人を対象に、食生活と乳がんの発症率の関係を20年間追跡した。そして、4年ごとに乳がんの発症と食事に含まれる食物繊維の量、肥満度を示す体格指数(BMI)、体重変化量、月経の頻度、アルコール摂取量、乳がんの家族歴などとの関連を調べた。また、対象者に「思春期の食生活調査」を行ない、高校時代の食事内容を聞いた。
その結果、食物繊維が多いものを食べていた女性では、少ない女性に比べ発症リスクが12~19%低くなった。特に高校時代に食物繊維を多く摂(と)っていた女性は、少ない女性に比べ、全体のリスクが16%低くなるばかりか、閉経前の若い時期での発症リスクが24%も下がった。また、高校時代の食事に1日10グラムの食物繊維を追加すると、リスクが13%減ることもわかった。
将来の乳がん発症と「思春期の乳房」の関係は
乳がんは、女性ホルモンのエストロゲンが発症に強く関係しており、食物繊維がエストロゲン値を抑えることが知られている。
今回の研究について、同大のウォルター・ウィレット教授はこう語っている。
「乳がんの予防には、若い頃から果物や野菜を食べることが有益であることを証明しました。食物繊維がエストロゲン値を下げ、発がん性物質を減らすためと考えられます。これまでの研究から、乳房の細胞の発達は、特に思春期に発がん性物質と抗発がん性物質双方の影響を受けることがわかっています。だから、高校時代の食事が将来の乳がん発症リスクを抑えるためにとても大切なのです」
食物繊維の多い食べ物は、イモ、海藻、キノコ、野菜、果物、豆腐などだ。あなたの思春期のお嬢さんの食卓にもう1品サラダ類を加えてあげよう。