俳優・渡辺謙さん(56)の胃がんはまさに「奇跡的なタイミング」で発見された。きっかけは、妻で女優の南果歩さん(52)に「行って」と勧められた人間ドックだった。
胃がんは早期に発見できると手術でほぼ完治すると言われるだけに、何よりも胃カメラやバリウムを使った定期健診が大事ということなのだろう。
ごく初期で発見できれば5年生存率「90%以上」
渡辺さんは2016年2月9日、所属事務所を通じて早期の胃がんを患っていたと発表した。内視鏡手術を経て、現在は仕事復帰へ向けた療養に入っている。
主演予定だった米ブロードウェーミュージカル「王様と私」は開幕日を延期したものの、「無理は禁物ではありますが、舞台に向けて鋭意準備を重ねております」と復帰への意欲を見せた。
胃がんは、南さんに勧められた人間ドックで偶然発見。1989年に映画「天と地と」の撮影中、急性骨髄性白血病を発症して以来、健康には人一倍気をつけてきた。白血病を克服するまでの闘病経験が注目され、健康食品のCMにも抜擢されたほどだ。
そんな渡辺さんだけに、がん発見に驚きを隠せなかったらしい。2月9日のツイッターで、「いやぁ驚きました」「この段階での発見は奇跡、点検は大事ですわ」と心境を綴っている。
フリーアナウンサーの黒木奈々さんや、お笑いコンビ「今いくよ・くるよ」の今いくよさん、俳優・蟹江敬三さんなど数々の芸能人の命を奪ってきた胃がん。しかし、早期に発見できれば、完治の確立は一気に高まる。2004年に日本胃癌学会が発表した資料によると、最も初期の胃がんといわれるステージ1A期の5年生存率は90%以上だ。しかし、転移が進むにつれ低くなり、末期のステージ4になると20 %を切る。
今回、渡辺さんの胃がんは「奇跡」とも言えるごく早期のタイミングで発見されたらしい。内視鏡手術は、大きさが 2センチ以下で腫瘍の深さが粘膜部分に限られる浅いがんにのみ使える方法だ。胃を切除しないため、治療後の障害はほとんど残らず、生存率も100%に近い。