タレントのベッキーさん(31)と「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音(えのん)さん(27)による不倫問題が、国外にも波及し始めた。特に注目されているのは、ベッキーさんと川谷さんに対する風当たりの強さの違いだ。
これに加えて、アイドルをめぐる「恋愛禁止」の慣例など、男女間で二重基準がまかり通っているのではないか、というのだ。
「芸能界の女性にとっての不公正な基準」めぐり議論
記事は2016年2月8日付けで英高級紙「ガーディアン」のウェブサイトに掲載された。「『隣のお嬢さん』タレントの失脚で、芸能界にはびこる性差別が浮き彫りに」と題して、「芸能界の女性にとっての不公正な基準をめぐり、議論が起こっている」と指摘している。
具体的には、「日本の強力な芸能事務所が女性歌手、俳優、タレントに対して持っている支配力」をめぐる議論が起こっている、とした。その背景として、ベッキーさんはスキャンダルで多くのテレビ番組やCMの仕事を失ったのに対して、川谷さんは「一見、影響をうけずに自分のキャリアを続けている」ことを指摘。
「ベッキーさんの罪は、日本の若い女性芸能人は人を楽しませるだけはなく、道徳的にも非の打ち所がない状態でなければならないという確固としたルールを破った、ということのようだ」
とも分析した。
イメージが傷つくと、起用する人にとっては価値がなくなる
日本メディアと文化に関する評論家は、記事の中で、
「彼女(ベッキーさん)がテレビタレントでいられるのは、『快活で、感じが良く、若くきちんとした女性』だから。一度このイメージが傷つくと、彼女を起用する人にとっては価値がなくなってしまう」
「彼ら(タレント)が芸能事務所にとって価値があるのは、どれだけ彼らが『人間』として大衆に好かれているかとすべて関係している。つまり、彼らの私生活も事務所の所有物だということだ」
記事では直接言及されていないものの、こういった慣行が特に女性芸能人に多い点が、「不公正」「性差別」だといいたいようだ。
15年9月には東京地裁で「交際禁止」のルールを破った女性にマネジメント会社が損害賠償を求めた訴訟で、ルールは妥当だとする判決が示された。16年1月には、別のアイドルグループをめぐる同様の訴訟で、東京地裁がマネジメント会社側の主張を大筋で退けた。
記事では、評論家が「恋愛禁止」を求める芸能事務所側の事情に一定の理解を示した上で、
「恋愛禁止は20になったら無効にすべきだ」
と提言。現実にそうなっていない事例として、2013年にAKB48の峯岸みなみさん(当時20)が男性スキャンダルを週刊文春に報じられ、頭を丸めて動画に出演し謝罪したことにも触れている。
16年1月末には、英BBCが「アジアのアイドル業界、その暗い側面」と題した長文記事をウェブサイトに掲載。峯岸さんを含む日韓の事例を紹介しながら、音楽雑誌の編集者が、
「事務所がスターの私生活を管理するなど欧米では聞いたことがない」
と指摘している。